南留別志349
2020.08.02 09:12
荻生徂徠著『南留別志』349
一 返閉(へんばい)といふは、陰陽師が、行幸の時にする事なり。軍法者の家に遍唄(へんばい)といふ事のあるは、これを誤りたるなるべし。
[語釈]
●返閉 禹歩(うほ)に同じ。天皇または貴人が外出のとき、道中の無事を祈って陰陽家(おんようけ)がまじないを唱えながら舞踏する作法。中国で夏(か)の禹王が国土経営のため天下を歩き回ったために、歩行が不自由となったという伝説による語。大股でゆっくり歩く。
●遍唄 兵法書に『遍唄切紙解』というのがある。内容は未見だが、返閉と似たようなものか、言い換えたものだろう。