木ノ子がなぜタケと呼ばれる??
https://news.livedoor.com/article/detail/13733834/ 【マツタケ、シイタケ…なぜキノコには「タケ」がつくのか】
秋の味覚の王様「マツタケ」の人工栽培の研究中に偶然誕生したという「松きのこ」。風味はマツタケにそっくりだそうですが…、そもそも「タケ(茸)」と「きのこ」には、どのような違いがあるのでしょうか。無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』の著者・須田將昭さんが、その謎に「納得の答え」を出しています。
「きのこ」と「たけ」
収穫の秋。美味しいものがたくさん採れる時期ですが、秋の味覚の代表格の一つが松茸(マツタケ)。なかなか庶民の口には入ってこない食材ですが、あのなんともいえない香りは、日本の秋らしい…と私は感じます。
さてこのマツタケの一大生産地だった広島県世羅町では、天然のマツタケの収穫量が減少していったことから、人工栽培の研究に着手しました。残念ながらその研究はうまくいかなかったのですが、なんとその過程で別のきのこが生まれました。
名付けて「松きのこ」だとのこと。
これが風味はマツタケのように豊かで、無農薬、無菌栽培。生食も可能ということで、注目を浴びています。
松茸ならぬ松きのこ。
ん? 「茸(たけ)」と「きのこ」って何が違うの?
という疑問が湧いてきました。そもそも「きのこ」とはなんでしょう? 簡単に定義を書くと、菌類がつくる子実体(しじったい)の比較的大型のものを指します(あるいはその菌類も)。朽木や木に出てくることが多いので「木の子」というのがその語源だと思われます。しいたけ、まいたけ、えのきたけなどなど、みなさんがイメージするものを指してまとめて「きのこ」です。
おやおや? 名前の後ろに共通して「たけ」が付いていますね。
そうなんです。きのこ類の名前には、その種類を表す接尾辞として「たけ」がつくものが非常に多いんです。つまり「たけ」は種類の目印なんです(関西では「たけ」できのこを意味する語として使うこともあるとされています)。
あらためて思い返すと、「○○たけ」はあっても「○○きのこ」という名前のきのこはありませんね。
自然界にはないけど、人工栽培の研究過程で生まれた新しいきのこ。だから「松きのこ」という名前になったのでしょうか。なかなか面白いものです。
「たけ」はある程度独立性の高い接尾語なので、「しいたけ」「まつたけ」のように、濁りません。時々「えのきだけ」と濁りをつけた表記がありますが、本来は「えのきたけ」と濁らないのが正しいのです。
濁ってしまうのは、それだけ古くから人々の食用として親しまれてきた結果だろうと思いますが。
あと、きのこ類には、食べると非常にきつい中毒症状を引き起こすものがあります。きのこ狩りに行って採ってきたものは、必ずきちんと食用かどうかを確認してから食べましょうね。
http://www.forest.rd.pref.gifu.lg.jp/rd/shigen/mori140201.html 【キノコ栽培に竹は利用できるか】(岐阜県森林研究所) 上辻 久敏 より
●はじめに
人工林への竹の侵入がニュースに取り上げられることがあります。原因は竹の繁殖力だけでなく、身の回りで竹があまり使われなくなっていることも関係していると考えています。竹の良い利用方法を開発することができれば、放置されている竹林の整備につながる可能性もあります。そのため、竹活用のひとつの可能性として、食用キノコの栽培への利用について研究しています。
●菌床を用いた食用キノコの栽培
食用キノコの栽培には、木をそのまま利用する原木栽培と、オガコと呼ばれる木粉にフスマやコメヌカなどの栄養源を混合した菌床を利用する菌床栽培があります。
岐阜県内で生産される食用キノコは、大部分がオガコを用いた菌床栽培で生産されています。竹をキノコの菌床栽培へ利用することができれば大量の竹が活用できると考えられます。
●竹のオガコで作った菌床を利用できるキノコを探して
食用キノコを栽培する菌床を竹で製造する際、まず初めに竹を粉砕してオガコにする必要があります。竹の粉砕に関して、竹を伐採後そのままの状態で粉砕できる竹専用の粉砕機が開発されています。今回の試験に関しては、機器導入の初期投資を避ける目的で検討したところ、竹を幅5cm程度に繊維方向に縦割にして、粉砕器の刃と竹の繊維を垂直に当てることで、従来のオガコ製造器で粉砕可能でした。そして粉砕した竹オガコを利用する第1段階として、竹菌床を用いたキノコ栽培技術の開発を目指し、竹菌床に適性があり、実用化に近いと考えられる食用キノコの種類を探索しました。
●栽培試験の結果
エリンギ、ブナシメジ、ナメコおよびシイタケの種菌を用いて、竹(モウソウチク)菌床への適性を調べるために栽培試験を行いました。通常、針葉樹オガコで栽培されているエリンギとブナシメジは、スギオガコを用い、広葉樹オガコで栽培されているナメコとシイタケはブナオガコを用いました。試験区はそれぞれ通常の栽培で使われているオガコに竹オガコを50%配合した条件と竹オガコのみ(100%)の条件で、栽培試験を行いました。
試験の結果、竹オガコ菌床でもキノコが発生できることが分かりました。さらに、エリンギとシイタケでは、1次発生について従来の菌床と同等のキノコの発生量を得ることができ、竹への適性が高いと考えられます。しかし、竹菌床では従来の菌床よりも菌糸の蔓延が遅れる傾向が、4種のキノコで共通しており、今後改善しなければならない竹菌床の欠点といえます。
また、4種のキノコを同じ発生室で試験する関係で、ブナシメジにとっては従来の菌床では発生に不適な栽培環境になってしまいましたが、竹オガコを菌床に配合した菌床ではブナシメジが発生するという、予想外の効果も認められました。
今後は、これまでに当研究所で研究してきた栄養材の配合率、酵素(アミラーゼ)の添加や廃菌床を再利用する技術と組み合わせ、できる限り、コストが低く、子実体の発生量が多い栽培条件の確立に向けて改良していきます。また、今後、竹の実用には、竹を効率よく林地から搬出すること、安定的に竹を生産できる管理方法についても検討が必要と考えられます。