語源を知る話。
編み物の世界に長いこといるはずなのに、そういえば知らんかった話を先日聞いて、なるほどとなった。
『度目』って、ずっと使ってきた言葉だったし、それが編み目ループの大きさを意味することは知ってたけど、そういえばなんで『度』目なんだろうと。
要約すると上記ツイートになるのだが、『度目』の『度』ってなんなのさ。編み目の大きさが『度』によって変わるその『度』ってなんなのさ。っていうの知らんかった。
ちなみに、編み目が大きいと『度目』が甘い=『度甘』で、編み目が小さいと『度目』が詰まっている=『度詰』だ。
横編み屋さんに聞いた話を自分なりに噛み砕くと、編み針が糸をとって編み目を作る際に、針を突き出す長さによって編み目の大きさが変わる。その針の突き出す距離を変えるために調整するのが、ベットと呼ばれる装置の中に入っているカムで、そのカムの角度を変えると針が突き出される距離を調整できるということらしい。
カムの角度、度=°(ど)
サインコサインタンジェントの°(ど)
だから『度目』なのだとか。(自己解釈なので、しまださん、違ったら正解をください)
語源がわかると、理解がすすむタチなので、僕は今まで度目調整は糸長がメインだと思っていたのだが、糸長は針の動きでとった糸の長さが後から数字としてわかることなので、逆に最近の解釈らしい。元々編み物はご存知の通り、横編みやセーターが始まりなので、丸編みが使っている理論は本来横編みからきている。だから糸長を調整して度目を決めるというのはオリジン的には後発ということになるのだ。アハ体験。
丸編みの場合、カムの角度が変わるとそもそも編み目組織が変わる(三段階の針のポジションで編み方が変わる)ので、カムの角度で度目を調整するというところに非常に興味を持ったし、それこそ角度を調整して後から出来上がる目の大きさを変えていくって、職人感すごくね?っていう感動。
ちなみにカットソー(カットアンドソウン)の語源も、辿ると編み物生地を切って(cut)そして(and)縫う(sewn)というところからきている。つまり編み物はそもそも、糸を編み上げていきなり服の形にしていくという前提があるから、『編み物生地を切る』という派生種を定義するためにカットソーになったので、編み物生地以外で作られたものはカットソーと言わないのとか、言葉の意味はちゃんとあるのだ。
まだまだ知らんこといっぱいあって、仕事しながら勉強になるって、本当にありがたい環境だと感謝しているところである。