パキスタンのカタック舞踊家
カタックはインドの古典舞踊でもありますが、パキスタンやバングラデーシュでも踊られており、南アジアの古典舞踊とも言えます。それは、1947年にイギリスからインドとパキスタン(その一部はのちにバングラデーシュとなる)が分離独立したためです。
パキスタンのカタック舞踊家の多くは、分離独立前後に、現在のインドである地域から、現在パキスタンとなった地域へ移住した舞踊家に育てられたことが多いようです。中でも、マハーラージ•グラーム•フセイン(Maharaj Ghulam Hussain)さんという方は、コルカタからラーホールへ移住され、後進の育成に励まれたことで有名です。
https://youtu.be/97_cR1GYGO0
(↓にもリンクを貼りましたが、上手く表示されないので、リンクを打っておきます↑)
数回前の投稿の「Rock & Roll Jihad」でジュヌーンのサルマーン•アフマドさんの、パキスタンの軍事政権下でのアーティストとしての葛藤についてはご紹介しましたが、舞踊家も例外ではないようで、著名なパキスタンのカタック舞踊家はイギリス活動される方が多く、私もロンドン在住中には、ファスィー•サーハブの公演を拝見したり、ワークショップに参加したりする機会に恵まれました。直近ですと、マハーラージ師匠のロンドンのワークショップの最終日の舞踊祭で踊られ、舞台裏でお目にかかる機会があり、友人の計らいで図々しくも一生宝物にしたいセルフィーも撮らせて頂けました。また、数年前からロンドンのインド文化センターのカタックの講師は、パキスタンのナーヒード•シッディーキーさんが担当されています。パキスタンのカタックは、インドとまた異なった発展と遂げているので、いつかコロナや治安が安定したら現場に足を運んでみたいと思い続けています。
カタックというと、足をバシバシ打ち鳴らす踊りだ思われがちで、もちろんそういうスタイルの流派もあるのですが、マハーラージ師匠の流派やファスィー•サーハブの踊りは、幾何学模様のような美しい曲線や優美さ(ナザーカト/nazakat)に重点を置かれています。特にファスィー•サーハブの踊りは、雲の上で舞われているようで、静(テヘラーオー/Thehraao)を感じます。シンプルな動きだけど、目が離せない。力技ではない、軸がしっかりと通った長年のベーシックな鍛錬によってしか出せない動きで、息を呑んでしまいます。
今日は取り分け気分が落ち込んでいたのですが、ファスィー•サーハブがFacebookに投稿された動画を観て元気と希望を頂きました。またパキスタンやイギリスでカタックを観たり踊ったりできる日が、早く訪れますように⭐︎