アセクシャルとは何か――AVENによる解説

世界最大のアセクシャルコミュニティであるAVENのホームページに掲載されている内容を翻訳・掲載します。（文責：日野智貴）

　アセクシャルの人は性的魅力を体験しません――彼らは性的に人々に引き付けられず、性的な方法で他人への魅力に基づいて行動することを望んでいないのです。独身とは異なり、性行為をしない選択することであり、アセクシャルは他の性的指向と同じように、私たちの本質的な部分です。アセクシャルは私たちの生活を悪化させたり、より良くしたりしません。ほとんどの性的な人々とは異なるニーズや課題に直面しています。関係、魅力、覚醒などのセクシュアリティに関連するニーズや経験は、アセクシャルコミュニティの間でかなりの多様性があります。

　アセクシャルは心理学、性別、およびその他の学術分野での研究の成長している主題です。人口のアセクシャルの割合の推定値は限られており、変動する可能性がありますが、最も広く引用されている数字は、人口のおよそ1％であることです。

概要

　多くの無性愛者（アセクシャル）は、本質的に恋愛的、美的、または官能的な魅力の形態を経験するかもしれませんが、その魅力に性的に行動する必要はありません。代わりに、セックスのない関係から、しかし他のタイプの魅力に基づいて、充実感を得ることができます。恋愛的な魅力とは、他の人とロマンチックに関わることです。美的魅力は人の外見に対する感動です。官能的な魅力とは、抱きしめる、抱き合う、キスするなど、人との官能的な（しかし性的ではない）活動に従事したいという欲求です。これらの他の形の魅力を経験する無性愛者（アセクシャル）は、しばしば特定の性に惹かれるでしょう。これらの人々はまだレズビアン、ゲイ、バイ、またはストレートとして識別できます。スプリットアトラクションモデル一部の人々は別々の性的および恋愛的な魅力を特定するようになりました。たとえば、アセクシャルであるが異性との関係を望んでいる人は、「ヘテロロマンティックアセクシャル」と識別される場合があります。ほとんどの性愛者はその方向性をそのように見ないかもしれません、そして、それらが成立しているならば、彼らの性的で恋愛的な魅力を単純に一つの特徴として組み合わせているかもしれません。無性愛者（アセクシャル）は、性的誘惑と恋愛的な誘惑の両方を指定して、何が彼らを動かし、他の人に何を求めているかを明確にする必要性を感じることがよくあります。

性欲

　一部の無性愛者（アセクシャル）において、性的な感覚の覚醒（アセクシャル同士の会話で「性欲」とされることがある）かなり頻繁に発生しますが、性的なパートナーを見つけたいという欲求とは関係ありません。これには、人の月経周期におけるホルモン変動による覚醒、または1日の特定の時間における勃起が含まれますが、これに限定されません。たまに自慰行為をする人もいますが、パートナーのセックスを望んでいません。他の無性愛者（アセクシャル）は、性欲非依存症や無性症と呼ばれることの多い、ほとんどまたはまったく覚醒を経験しない人なのかもしれません。性的指向は厳密に生理学的な反応というよりも、他の人々に対する魅力と欲求に関するものであるため、どちらのタイプもアセクシャルであると識別するのに等しく有効です。

　私たちは本質的にセックスを必要としないため、無性愛者（アセクシャル）は一般に性的興奮の欠如を是正すべき問題とは考えておらず、性欲や覚醒を経験しても性的活動が欠如している状態を、ニーズが満たされていないと感じていません。

　アセクシャルは性的欲求低下障害（HSDD）などの病状とは異なることに注意することが重要です。HSDDはDSM-Vにリストされていますが、アセクシャルはリストされていません。HSDDの場合、個人的な苦痛の点まで、満たされていない潜在的な性的ニーズがあります。性的興奮を経験しない、または突然セックスへの興味を失うことが苦痛である場合、診断を受けるためにこれを医療専門家と相談することをお勧めします。

関係

　アセクシャルは人の感情的な必要を制限しません。性的な人々の場合と同様に、私たちはそれらのニーズを満たす方法が大きく異なります。一部のアセクシャル人は恋愛の関係を望んでいるかもしれません。他の無性愛者（アセクシャル）は、親しい友情に最も満足しているかもしれませんし、自分で幸せであるかもしれません。

　性的または非性的、すべての関係は対人関係の構造で構成されています。コミュニケーション、親密さ、楽しさ、ユーモア、興奮、信頼はすべて、性的関係と同様に非性的関係でも重要です。ロマンチックな関係を望んでいる無性愛者（アセクシャル）は、依存する文化的スクリプトが少ないかもしれませんが、ロマンチックな愛の共有の感情的なつながりを求めています。

　恋愛の関係を望んでいる無性愛者（アセクシャル）にとって、他の無性愛者（アセクシャル）のための出会い系プールは非常に小さいです。それに加えて、アセクシャルはしばしば目に見えず、求愛の文化的場を確立した可能性のある他のマイノリティの性的指向よりもアイデンティティ/コミュニティとしての歴史が短いです。このため、多くの無性愛者（アセクシャル）は、性的な人々との混合関係に終わります。混合関係は、しばしば妥協を必要とする課題に直面します。

身元

　ほとんどの無性愛者（アセクシャル）は私たちの人生全体でアセクシャルでしたが、私たちがこれを認識している限り、私たち全員がその用語やコミュニティを知っているわけではありません。人々が予期せずにストレートからゲイになることはめったにないのと同じように、無性愛者（アセクシャル）はめったに予期せず性的になる、またはその逆です。アセクシャルコミュニティの別の少数の人々は、自分自身のセクシュアリティを探求し、疑問を投げかける一方で、通常は若い頃、性同一性を探求したり、自身を取り巻く対人関係の大きな変化をけいけんしたりしたときに、自分をアセクシャルであると考えるだけです。

　研究を支援する学術的努力が行われている途中ですので、誰かがアセクシャルかどうかを判断するテストはありません。アセクシャルは他のアイデンティティのようなものです–それの中心にあるのは、人々が自分自身を理解し、自分の一部を他の人に伝えるのに役立つ言葉です。アセクシャルという言葉が自分自身を説明するのに役立つとわかった場合は、アセクシャルの人として特定できるでしょう。後であなたがアセクシャルではないことを示すことを経験した場合でも、それは問題ありません。自分がアセクシャルかを問う段階にある人は、私たちのコミュニティで歓迎されています。私たちはあなたが自分についてもっと知るのを助けるために私たち自身の経験と見解を共有できることを嬉しく思っています。私たちのメンバーの多くは、もはやアセクシャルであると認識していませんが、あらゆる種類の人々にサポートを提供し、知恵を共有するために参加しています。

出典：https://www.asexuality.org/?q=overview.html