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Be ambitious, dear friends.

悔いのない今日を過ごすこと

2020.08.28 08:05

今年の夏休みは短い。

夏休み最後の日が例年通り8月31日だという地域はあまりなさそうである。ランドセルを背負って通学路を歩く小学生たち、ヘルメットをかぶって自転車をこぐ中学生たち、朝のバスを待っている高校生たちを、今週から見かけるようになった。新学期が始まったのだろう。様々な不便を強いられる年ではあるが、今日のこの日は二度と帰ってこない。だがどんな状況であれ、あなたに意志があれば、この一日を精一杯生きることができる。悔いのない今日を、明日を、新しい二学期を過ごしてほしいと心から願う。


閑話休題。

私が小学6年生だった夏に遡る。当時は特に各地域で「子供会」の活動が盛んだった。夏休み前には「地域別児童会」なるものが小学校内で開催される。そこでは同じ地区の子供が集まり、地区長(たいていはその地区の小学6年生)を中心に夏休みの予定を立てる。決めた予定は、高学年の子供達中心に保護者や地域の大人たちの協力を得て実行されるのだった。子供によるなかなか高度な自治がなされていたといえる。


その夏はイベントとして「お化け屋敷」と「花火大会」を、それから毎日のラジオ体操の後は有志でキックベースボールをプレーしようということになった。キックベースボールは、簡単に言えばサッカーボールで野球をするスポーツ。ピッチャーはボールを投げるのではなくて転がす。バッター(というかキッカー)は、ボールを蹴る。蹴られたボールを追いかけ、手で拾って、ベースに投げる。ランナーはボールに当たればアウト。ベースにたどり着く前に守備にボールを取られてもアウト。ファースト、セカンド、サードを踏み、ホームベースに帰ったら点数が入る。ボールさえあればプレーできるため、朝のラジオ体操が終わってから親に叱られない朝食前ギリギリの時間まで、グラウンドで毎日みんなで夢中になってボールを蹴って、つかんで、投げて、追いかけて、走った。


今日で夏休みが終わりという日。グラウンドでいつも通り30分ほどキックベースボールを楽しんだ。「そんじゃ、またね。」「バイバイ」低学年を中心にほとんどが帰って行く。私とあと数人は残ったまま、動かない。特にキックベースボールの時間を愛していた者たちばかり。ここで立ち上がったら夏休みは終わってしまうのだと、みんなが感じていたのかもしれない。「あのさぁ〜」誰ともなく言う。「今日で夏休み最後だし、もうちょっとだけやらない?」「いいねぇ!」「やろうぜ。」

早速、チームに分かれる。6人しかいないので、3対3のチーム。私は、ピッチャーをしながらファーストを守り、必要とあらばキャッチャーの役に走った。他の2人はショートやサード担当と、外野全般。サッカーが得意な相手チームの強烈なキックが来ると、もう守備はめちゃくちゃ。私たちはボコボコに点数を入れられ、ようやく3アウトを取った。その後お返しだとばかりに相手チームをさんざん攻撃して点数を取りまくった。とんでもない試合に、みんなで大笑いした。


「あなたたち、もう○時○分になってるわよっ!」

グラウンドの土手の上からチームメイトのお母さんに呼びかけられて、私たちは気づいた。日が結構高くなっている。急ぎ、みんなで片付ける。「夏休みは終わるけど、またキック、しような!」「うん、絶対!」と約束をして帰路についた。いつもよりずいぶん汗だくになっていたけど、心はさわやかだった。私は「夏休みを見送った」と思った。明日からの二学期、またがんばれそうだ。


あの「またキックベースボールをやろう」という約束が果たされることはなかった。私たちは7ヶ月後に小学校を卒業し、馴染みのグラウンドに遊具がたくさん建てられ、ボールを蹴る場所はなくなった。しかしながら、小学6年生のあの夏、悔いが残らぬよう、自分にできることでその日その日を精一杯過ごした記憶は残っている。


あの夏もこの夏も、たった一度きりなのだということを改めて伝えたい。そして、問いたい。


人生を悔いなきものにするために、あなたは今日をどのように過ごすのだろうか。


ぜひその答えを、毎日見つけて欲しい。




Be ambitious, boys and girls!