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植物の分類

2020.08.05 03:06

https://www.flower-walk.jp/7205/050501.html  【アルストロメリア・ユリズイセン】 より

ユリ科(アルストロメリア科)アルストロメリア属

分類体系により所属する科は異なり、新エングラー体系ではヒガンバナ科、クロンキスト体系ではユリ科、APG分類体系ではユリズイセン科(アルストロメリア科)に分類される。

園芸品種はハエマンタ種、リグツ種、アウレア種、ペレグリナ種などの交配によってつくられました。

切り花としての人気が高く、近年は日本での品種改良がめざましい。

切り花向きの高性種のほか、最近は、草丈が30cmほどの花壇や鉢花用のわい性品種も見られるようになりました。

内花被片に条班が入るのがアルストロメリアの特徴のひとつです。

左右対称の花に濃いすじ状の斑点が入る品種が多いのですが、斑点のないスポットレスタイプも出回り、花色も豊富になってきました。


http://hototogi.world.coocan.jp/kaita/bunrui/bunrui01.htm  【1. はじめに】より

花の咲く植物は、まず、双葉が出る双子葉植物と出ない単子葉植物に分かれ、

双子葉植物は花びらがくっついている合弁花とくっついていない離弁花とに分かれ、

さらに、幾つかの科に分かれている、

というのがあたり前のように思われているのではないでしょうか?

これは、「新エングラー体系」と呼ばれる分類で、植物の分類と言えば、これが 定番であり、長年にわたって広く使われてきました。

書店で見かける図鑑やハンドブックも、ほぼ全てこの分類に基づいています。

しかし、この分類体系は、主に植物の形態に基づいたもので、人為的な部分が残っており、 必ずしも、植物の進化、系統を正しく反映していないという問題が指摘されていました。

そのため、新しい分類の試みもいろいろ行われ、1980年に「クロンキスト体系」が発表になり、 これに変わっていくのかと思われましたが、普及するには至りませんでした。

1990年になって、遺伝子の研究が進み、植物の系統が明らかになってきました。

そして、遺伝子解析に基づく、新しい分類が発表されました。それが、今回紹介する 「APG(Angiosperm Phylogeny Group)体系」です。

これこそ、新しい植物分類の本命と思われます。近い将来、この、新しい分類に変わって いくのはまちがいないでしょう。

どこが、どういう風に変わったのか?気になるところです。

でも、その前に、まずは、分類のおさらいから、始めましょう。


http://hototogi.world.coocan.jp/kaita/bunrui/bunrui02.htm  【2. 分類のおさらい】より

生物の分類について、ざっとおさらいします。

生物の分類は、まず、種が、基本になります(しゅ、と読んでください。たね、じゃありません)。

この個体とこの個体は同じだよね、というのが種です。ちょっと、ざっくり過ぎますか。

繁殖して、子孫を残してゆける仲間が種、と言えば、もう少しつかみやすいでしょうか。

まあ、細かいことを言い出すと、同じ種でも、ちょっとずつちがう仲間に分けられたり、 種がちがっても繁殖できたり、ということもありますが、それは置いておきましょう。

その種の似たものを集めたのが属(ぞく)、属の似たもの同士を集めたのが科(か)、 科の似たもの同士を集めたのが目(もく)、さらに綱(こう)、門(もん)、そして 一番大きなくくりが界(かい)です。

上から並べると、

界-門-綱-目-科-属-種

です。

なお、これより細かく分けるカテゴリー(科と属の間の連(れん)、など)もありますが、 話がややこしくなるので、割愛します。

図を見てください。

我が家のかわいい住人、文鳥のちゅたろう君は、上から順に、

動物界-哺乳動物門-鳥綱-スズメ目-カエデチョウ科-キンパラ属-ブンチョウ

となります。

我が家で、6年以上も花を咲かせ続けてくれているシクラメンは、

植物界-被子植物門-双子葉植物綱-サクラソウ目-サクラソウ科-シクラメン属-シクラメン

という具合。

シイタケなどキノコの仲間は、動物でも植物でもなく、菌というくくりでまとめられ、

菌界-担子菌門-菌蕈綱-ハラタケ目-キシメジ科-シイタケ属-シイタケ

となります。

別に、これらを詳しく知っている必要もありませんが、界、門、綱、目、科、属という言葉が 出てきたら、ああ、分類の話なんだ、くらいは覚えておくと、知識が広がると思います。

今回お話しようとしているのは、このうち、植物の、それも被子植物より下の分類について、です。

動物や、菌の分類も、やはり、遺伝子的な解析が取り入れられて、従来考えられていたものと、 ちょっとずつ変わってきています。

大きなところでは、最近、ドメインという、界のさらに上の概念が作られました。

動物も、植物も、菌も、同じひとつのドメインになります。古い細菌などの仲間が、別のドメイン になるようです。

さて、それでは、今回のテーマである、植物の分類の変遷について、お話します。


http://hototogi.world.coocan.jp/kaita/bunrui/bunrui03.htm 【3. 植物の分類体系 (1)新エングラー体系】  より

最初に紹介するのは、新エングラー体系です。

ドイツのエングラーが、1900年ごろに提唱し、その後、修正を加えながら発展したものです。

単純な構造の花から、複雑な構造の花へと進化した、との考えに基づいています。

現在、最も一般的に使われており、日本で目にする植物図鑑や植物ガイドブックのほぼ全てで、 新エングラー体系に基づく分類が採用されていると言って過言ではないでしょう。

植物の分類は、まず、この花は○○科、というのを覚えるところから始めるのが普通で、 ハンディ図鑑には、種名と科名が書かれているのが常です。

新エングラー体系では、花の形態を元に分けられているので、科の特徴が分かりやすく、 覚えやすいのが、普及した一因でしょう。

新エングラー体系の全体像を見てみましょう。

花の咲く被子植物を、まず、双子葉類と単子葉類に大別しています。

双子葉とは、いわゆる「ふたば」のことで、種から発芽した時に、最初に出てくる2枚の葉の ことです。

これが出てくるのが双子葉類、出てこずに1枚のが伸びるのが単子葉類です。

単子葉類に比べると、双子葉類は大きな仲間なので、双子葉類は、さらに、花びらが分かれる 離弁花類と、花びらが分かれない合弁花類とに分けられます。

双子葉と、単子葉に分けるのは、系統的にもまちがいではないようです。

でも、離弁花と合弁花に分けるのが問題で、見た目には分かりやすいのですが、かなり人為的で、 必ずしも系統的には正しくありません。

例えば、合弁花とされているツツジ科の仲間には、一部、花びらが分かれるものが含まれます。

さらに、目、科と分けられていきますが、科の中にも、強引にまとめられているものもあります。

例えば、馴染み深いユリ科などがその最たるもので、花びらが3枚+3枚の構造なら、とりあえず ユリ科とされていますが、系統的には雑多なものの寄せ集めであることが分かっています。

新エングラー体系は、分かりやすい分類体系ですが、問題も多く含んでいます。

そのため、これに代わる分類体系が提唱されてきました。そのひとつが、次に紹介する、 クロンキスト体系です。


http://hototogi.world.coocan.jp/kaita/bunrui/bunrui04.htm 【4. 植物の分類体系 (2)クロンキスト体系】 より

次に紹介するのは、クロンキスト体系です。

アメリカのクロンキストが、1980年代に提唱した、新しい分類体系です。

おしべやめしべが、多数に螺旋状に配列している花(モクレンの仲間)が元になり、 そこから様々な花が進化した、との考えに基づいています。

1997年に刊行された、分冊百科シリーズ『植物の世界』(朝日百科)で採用され、 今後は、この、クロンキスト体系が主流になる?と思われたのですが、結局、ほとんど 普及しませんでした。

そういうわけで、一般には馴染みのない、クロンキスト体系ですが、ざっと、眺めてみましょう。

まず、花の咲く植物(被子植物)を、大きく双子葉植物と単子葉植物の2つに分けるところは、 新エングラー分類と同じです。

大きくちがうのは、新エングラーでは双子葉植物を合弁花と離弁花に分けていたのが、 クロンキストではその概念が無くなったところです。

さらに、幾つかの目、科も変更されています。

例えば、マメ科は、ジャケツイバラ科、ネムノキ科、マメ科(狭義)に分割されました。

また、ユリ科については、サルトリイバラの仲間が分離されサルトリイバラ科になり、 ヒガンバナ科がユリ科に統合されました。

合弁花、離弁花という分け方は、系統的には根拠が無く、クロンキスト体系がこれを無くしたことは 評価でき、新エングラー体系よりは系統発生的な分類だと思われます。

しかしながら、クロンキスト体系も、基本的には形態的な特徴に基づく分類なので、遺伝子的な 研究が進むにつれ、系統的には、必ずしも適切でないこともわかってきました。

そして、1990年、遺伝子解析に基づく、APG分類体系が発表されました。


http://hototogi.world.coocan.jp/kaita/bunrui/bunrui05.htm 【5. 植物の分類体系 (3)APG系】より

いよいよ、本題のAPG体系の登場です。

APGは、Angiosperm Phylogeny Group(被子植物系統発生グループ)という団体の略です。

このAPGが、1990年代から提唱している最も新しい分類体系が、APG分類体系です。

遺伝子情報であるゲノムの解析に基づいた分類体系で、外部形態に基づいたこれまでの 分類と異なり、系統発生的な見解に基づくものです。

まだ、完全に確定したものではなく、今も検討が続けられています。今後、大きく変わる ことはないと思われますが、まだ、暫定的に決めている部分もあり、科の変更などは あるようです。

では、APG体系とはどんなものでしょうか?大きな分類から見てゆきましょう。

下の表を見てください。

今まで、単子葉類と双子葉類に2分されていたのが、双子葉類が二分され、モクレン類と、 真正双子葉類に分けられました。

真正双子葉類の下に、旧双子葉類のかなりの部分が含まれます。

こちらの系統樹を見た方が、それぞれの仲間の位置づけ、つながりが分かりやすいと思います。

上の表の大きな分類に沿って、右から左に並んでいます。

アンボレラ目~モクレン目がモクレン類、ショウブ目~ショウガ目が単子葉類、残り全部が 真正双子葉類です。

単子葉類は、まとまった仲間で、被子植物の中の大きな1グループという位置づけです。

旧双子葉類は雑多な仲間の集まりで、便宜上、原始的なグループ=モクレン目、より進化した グループ=真正双子葉類にまとめられている、といったところでしょうか。

モクレン類、単子葉類、真正双子葉類に三分するあたりまでは、新エングラー体系とそんなに かけ離れていませんが、問題なのは、ここから下の分け方です。

新エングラー体系になじんだ目からしたら、仰天するかもしれません。

まず、合弁花、離弁花については影も形も無いのは、言うまでもありません。

目レベルでのまとめ方も、かなり、ちがうものになっています。例えば、キクとセリは、系統樹の 左端の方、すぐおとなり同士です。

APG体系を身につけるには、まずは、合弁花、離弁花の概念を捨て去ることでしょう。そして、 大きく変わった科について、いち早く覚えることだと思います。


http://hototogi.world.coocan.jp/kaita/bunrui/bunrui06.htm 【6. APG体系で分類が変わる!】より

さて、ここから、APG分類体系が、これまでの分類とどのように変わったか、なじみ深い 新エングラー体系と比較して、詳しく見てゆきたいと思います。

最初に説明しましたように、生物の分類のレベルには、下から、種、属、科、目、綱、… とありますが、花の咲く高等植物で、よく話題にされるのは、「この花、○○科ですよね」 というように科のレベルなので、科がどのように変わったか、比較して見てゆきます。

今回紹介するのは、2010年に出版された、『高等植物分類表』(北隆館:米倉浩司著)に 基づきました。

一部の科については、広義の科と、狭義の科と二通り容認されているものがありますが、 煩雑になるのを防ぐ意味で、今回は広義の科に従いました。

例:

広義のケシ科は、狭義のケシ科、オサバグサ科およびケマンソウ科に分割可能だが、 広義のケシ科を採用した。

先にも説明しましたように、APG体系は、現在も研究が進められている分類体系なので、 まだ、完全に確定してるわけではなく、今後の研究によって、見解が変わることもあります。

実際、最新の文献では、これから紹介する科と変わっているものもあるようですが、 ご了承ください。

では、これから、それぞれの科について、見てゆきたいと思います。

なお、紹介する写真は、全て自分で撮影したものです。かなり前に撮ったものについては、 プリントした写真をデジカメで撮影し直しましたので、画像がぼやけていますが、ご了承 ください。