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言葉

2020.08.06 22:49

診断、治療において、もの凄く重要なものが言葉だろうと思います。

それは説明という意味だけではありません。

説明を超えた何かだと思います。


梅田悟司さんというコピーライターの方が、どうやって、伝わる言葉を生み出しているのか?

という漠然とした質問に対しての答えみたいな形で書かれた本だそうですが、その一部を抜粋してみました。


1. 具体的な方法としてのスキルは理解できるものの、スキルの使い方の指南まで事細かにされているわけではなく、自分が抱えている課題に応用できない  

2. 提示される技術を「型」として理解してしまうため、型に縛られてしまうことで逆に不自由さを感じてしまう  

3. スキルはあくまでも、その人自身の経験から抽出された方法論であって、同じ経験をしていない第三者が真髄までを理解することはできない

梅田悟司. 「言葉にできる」は武器になる。 (日本経済新聞出版) (Kindle の位置No.185-189). 株式会社 日本経済新聞出版社. Kindle 版. 


人に伝わりやすい言葉で伝えるというのは、本当に難しいことだと思いますが、本質はテクニックではないと言うことです。まさにいつも私が言いたいことをそのまま書いてくれてあるなぁ~と思いました。


自分が一生懸命努力して、得た情報を、正確にそのまま相手に伝えても絶対に伝わりません。聞いてなかったと言われて終わりかもわかりません。

このことは、何度も人に話をして嫌という程、実感しました。しかし、その原因の殆どは、言葉のテクニックではなく、自分の理解が足りないからではないかと思っています。


「伝わる言葉」を生み出すためには、自分の意見を育てるプロセスこそが重要であり、その役割をも言葉が担っているのである。


言葉が、自分の意見を育てるプロセスにも関与している。つまり、自分の意見を自分自身に説明することができるのが言葉であるとも言えます。

まずは、自分の意見を育てる努力をしないで、言葉をそのまま伝えても絶対に相手には伝わりません。自分の意見というのは、知識ではありません。経験を伴った感覚を言葉にしたようなものです。

だから、言葉だけではない伝わらない言葉があるということです。そして実践が伴わなければ、言葉を練習したり思考したりしても、相手に伝わる有益な情報にはならないということです。


ある先生が、しっかり説明をした時と、しない時では治療効果に違いがありますか?

という質問をされました。

自分が理解していない(していると思い込んでいるだけ)状態で相手に伝わるはずがありません。

そんな説明なら私はしない方が絶対にいいと思っていますので、「違いはありません」と答えました。


自分が理解していると思い込んでいる理論を言葉だけで相手に伝えても、相手は、「そうか~」とその時は納得したようなフリはしますが、相手に本意は伝わっていません。

本を棒読みしたような授業を受けているのと同じで、治らない理由を説明されているようなものだからです。


この違いは、本当に大きいです。

また、自分の意見として理解する為には、もの凄く基本的なことであっても、様々な角度から検証した長い時間の蓄積が必要です。その蓄積のない言葉は、例え同じ言葉であっても、相手には伝わらないのです。そのことを理解せずに、言葉だけで説明しようとするのは愚かなことです。


そういう深い意味もこめて「違いはありません」と答えたのですが、正に、それは相手には伝わらなかったようです。私のミスでした。

この3つの問題は、治療をする上で、もの凄く必要なことだと思います。