BOOK「敏感すぎて「恋」に動揺してしまうあなたへ。」
BOOK「敏感すぎて「恋」に動揺してしまうあなたへ。」著者:エレン・N・アーロン、訳:冨田香里(かおり)
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の見方を理解するために対話を
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相手が違う惑星から来たのではないかと思わされることもある。いずれにしても解決方法は同じである。自分が尊敬する相手なのだから、その相手の見解を有意義なものとして聞こうと決心し、対話することだ。
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◉共感しながら聞き、共感しながら話す
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相手の言葉だけでなく気持ちまでくみ取るような「共感的な傾聴」が大切だと強調する。
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カップルのどちらか一方に権力と影響力が集中すると長い間にはお互いに不満がつのってくると報告する調査結果がたくさんある。対話においては相手だけでなく
自分もきちんと話をしなければならない。
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共感的傾聴、つまり話し手の話の内容のみならず、感情まで聞き込み、またさえぎったり、解釈したり、アドバイスしたり、質問したり、自分の経験を持ち出したりしないことは、対話における必要な要件の半分しか満たしていない。
残りの半分は、相手が聞き手に回ったときに自分の見解をきちんと述べることである。率直かつ誠実に、相手を責めずに、「Iアイステートメント(「私」を主語にして話をする)」を使って
「私にはそれが必要」
「私はこう見る」という言い方をする。そのあとで、今度はパートナーの反乱なり答えなりを、同じルールを使って聞く。
つまりさえぎったり、アドバンスしたり「本当はあなたはこうなの」といった解釈をせずに耳を傾ける。
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◉対話に必要なのは尊重と信頼である
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対話をするには、相手が早合点をしたり、話をさえぎったりしないで聞いてくれるという安心感はもちろんのこと、お互いに真実すべてを話しているという信頼感が必要である。ある状況についてのあなた(もしくは相手)の見方は有意義であり、尊重されるべきである。聞き手によって、あるいは話し手の本人の内なる批判や恐怖心のために、話が歪曲されたり、批判されたり、無効にされたりしてはいけない。
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ふたりの見解はそれぞれ正しく、かつ有意義なのだ。相手の見解を十分聞くことで、その根底に流れるものをよりよく理解でき、なぜ相手が譲歩できないのかも納得できる。だか、あなたはパートナーとは別の人格なので同じ考え方はできない。その点を認識することも重要である。
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優秀なセラピストなら、セラピストとはあらゆる考えや気持ちを表現する場である、ということをクライアントにまず理解してもらおうと努力するはずだ。これは、言い換えると、大いなる自己の寛容さをセラピーの場で感じさせる、ということである。大いなる自己とは恐怖感や疎外感を感じるべきものではない。どんな不快な衝動でも受け入れてもらえると感じることが、大いなる自己と農協和解には必要なのだ。
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過去に受けた哀しみを十分に嘆くことの重要性について述べたが、この「嘆き」は、大いなる自己から発せられたメッセージである、あらゆる気持ちや身体的経験に心を開かせる。また個性化や瞑想は、大いなる自己に近づく方法のひとつだと考えられる。
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あらゆる宗教は夢を大いなる自己から自我へ送られるメッセージだと教える。
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もちろんスビリチャリティが恋愛にまつわるすべてを解決してくれるわけではない。スピリチャルチャリティが光をあてるのは上の階だけであり、下の階に光をあてるのは、コンプレックスやシャドウ、本能、象徴的な表現など、人間心理の理解とコミュニケーションという辛い作業なのである。お互いにもたれあうことなくとなり合って上に向かいながら、この作業をつづけることでふたりはふたつの光の塔になる。
遠くから見れば、このふたつの塔は、「偉大なる光の都市」の一部に見えるだろう。「聖なる都市」というのは、夢によく現れる大いなる自己のシンボルのひとつである。
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長期的な恋愛関係を深めるには、大いなる自我との親密さが必要であるように、大いなる自己との親密さを深めるには、あらゆる種類の長期的な人間関係が必要となる。
ユングは次のように述べる。
他者と関わらない人間は全体性を欠く。なぜならば全体性は魂を通じてしか達成することができず、魂は「汝なんじ」につねに見られる他の側面なくしては存在できないからである。全体性は「我」と「汝」の組合せであり、象徴的にしか捉えることなできない性質をもつ超越的な結合の一部として現れる
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◉訳者あとがき
「個性化のプロセス」という言葉を使っていますが、これは、人は生涯かけてその人になっていく、ということです。そのプロセスのひとつに恋愛がある、ということなのでしょう。
2020/08/07