土用の丑の日の謎(続き)
さあ、皆さんお待たせいたしました(待ってない)。
何故私は土用の丑の日関係無く、うなぎを食べたくなっていたのか。
正解は、佐伯泰英の人気時代小説「居眠り磐音(いねむりいわね)」シリーズに最近家族でハマっているからです。
物語の主人公である坂崎磐音は元はいいとこの坊ちゃんですが、藩内騒動で許嫁や友人と別れ、故郷の豊後を離れて浪人の身となり、江戸勤番で三年を過ごした江戸に戻ります。
深川六軒堀の長屋に住み、貧乏ながらも人柄の良さと幸運な出会いによって、うなぎ割きなどの今でいうアルバイトでなんとか生計を立て始める、というのがストーリーの出だしの部分。
時代は田沼意次が権勢を誇る江戸中期で、庶民の間にもうなぎを食べる文化が流行し始めていたそうです。
磐音は毎朝身体に臭いが染み付くほどうなぎを割きますが、賄い付きで日当は70文。
うなぎ割きだけでは全く食べていけないらしいので、今の価値なら千円か二千円くらいなのでしょうか。
とにかく磐音が懐事情で食べられもしないうなぎを毎朝割き、「情が湧いて食べられぬ」とのたまうのを読んで、
「うなぎ食べたいね」
という話になったのがたまたま土用の丑の日の時期だった、という大変回りくどい話です。
私が東北から東京に来て(千葉県民ですが)思ったのが、「テレビや雑誌の内容が身近だな」ということです。
雑誌に載っている商品をお店で見て買うことが出来るし、土曜のお昼のトーク番組で紹介された流行りのパンケーキ屋さんにも、ドラえもんでスネ夫が自慢してた軽井沢にも、行こうと思えば行けることにはちょっとした感動を覚えます。
神田小川町の本社の近くには磐音の通った佐々木道場のある(フィクションなのであくまで設定ですが)神保町がありますし、通勤途中の駅は磐音の住んでいた金兵衛長屋のある深川のあたりを通っているので、
「貧乏用心棒仲間の品川さんと竹村さんが住んでる長屋のある本所があの辺…ということは30分くらい歩いて行ってたんだな」
「皇居が江戸城か。近いな」
「会社のあの人が住んでる近くに吉原遊廓があったのか」
というように、江戸時代という遠い昔の実際に知らない時代のことでも、今の自分の暮らしとの関わりを知ることで新たな発見があります。
どんな場所にも歴史はありますが、時代劇によく登場する地名や名所が当社の本社の近くには沢山あります。
お越しの際は、数百年の昔を想像して歩かれてはいかがでござろうか。