エッセイ no.2「目指せ北海道」<その2>
<エッセイ1の続き>
Aの家を後にし、兎にも角にも高速道路に入る車を探す事にした。
ヒッチハイクを始めてすぐに1台の車が僕たちの前に停まった。車の窓が空き、そこにはヤンキー系のカップルの姿があった。
「何してるん?」と運転手の男性が言ってきたので「ヒッチハイクです」とAが答え交渉が始まった。車の中を覗くと後ろの席がちょうど2人分空いているので乗せてもらえるかと思いきや半分バカにされた上に乗車拒否されてしまった。
直接的に乗車拒否されてしまったので、もうどんなに頑張ってもどうせ乗せてくれないだろうと諦めた僕だったがAはそれでも諦めず交渉を続ける。
粘るAの健闘虚しく結局乗せてもらうことは出来なかったが、このとき僕はAのあまりの食い付きに少しの恐怖と尊敬の念を覚えた。
それから少しして学生さんたちが乗る車が停まった。
北海道を目指してヒッチハイクをしている事を伝えると心良く僕たちを車に乗せてくれた。彼らの話を聞くと、何でも昔日本を一周したことがあるとの事。
「旅」という共通項もあり意気投合した僕らだったが、さすがに高速まで入るのは無理な様子。しかし、ここでも必死にAが食い下がる。だが、さすがに高速までは入ってもらうのは無理だった。しかしながら彼らの好意で高速の入り口まで運んでもらうことが出来、高速へ入る車に乗せてもらうべくヒッチハイクを再開した。
しかし、ここで事件が起きる。
Aがまさかの「寝る」発言をしたのだ。
「寝る」発言の後、彼は道端に横たわり本当に寝てしまった。
僕は色々な意味で彼が信じられなかった。まだヒッチハイクを始めて1時間足らずだった事に加え、道端で横たわる彼の姿に野生の血を感じたのと同時に「神経あんのかコイツ?」と思ったのだ。開始早々一人で頑張ることになり正直、当時僕はAを呪った。(ちなみにこのことについては今でも根に持っている。)
愚痴を言ってもAは一向に起きる気配がなかったので仕方なく1人で目的地を書いた段ボールを掲げるがいっこうに車は停まってくれない。
1時間くらい経ったところでAが起床。「さて、そろそろ始めるか」の一言。
僕がどんなに頑張っても停まらなかった車が彼の手にかかればいとも簡単に停まるのである。
(心の声)
「何だこれ・・・どうなってるんだ・・・」
世の中は本当に理不尽である・・・。
それはさておき、何とか高速に入り僕らは滋賀に到着することができた。
滋賀到着後、お互い疲れが出ていたのに加え、夜中だったのもあり乗せてくれそうな車もいなかったので朝まで少し睡眠をとる事にした。