日本でも夏に白夜が見られるって本当?
Pop quiz! (突然ですが、クイズです!)
次の漢字をどう読みますか?
独擅場
惨敗
重用
白夜
正解は、、、
1つ目は、『どくだんじょう』でしょうか?
土ヘンではなく、手ヘンであることに、気づきましたか?
Too bad if you have presbyopia.
本来『擅』は手ヘンの漢字なのに、『花壇』や『檀家』などの言葉がある為、人々により馴染みがあった 土ヘンの『壇(だん)』 という別の漢字と混同され、結果的に、土ヘンの『檀』の方が主流になってしまったようです。
現在では『独壇場』と書いて『どくだんじょう』と読むのが一般的になっていますが、元々は、『独擅場』と書いて『どくせんじょう』と読んでいたのですね。
ちなみに意味はどちらも『その人だけが活躍できる場所』です。
みなさんは正しく使えていますか?
2つ目の『惨敗』も、元々は『さんぱい』と読んでいたのが、いつの間にか慣用的に『ざんぱい』と読むように変わっていったようです。
3つ目の『重用』も元々は『じゅうよう』と読んでいたのに、戦後、『ちょうよう』が慣用的になったそうです。
その背景を推理するに、『ちょうよう』という言葉が当時、悲しいほど国民の間に馴染んでいたからなのかもしれません。何故なら、1939年(昭和14年)に国民徴用令が制定されて以来、第二次世界大戦が終結するまで、徴用制度というものが日本国の産業構造の一部を成していたからです。
更に 『重要』という別の言葉との紛らわしさもあって、『じゅうよう』とは別の音が好まれたのかもしれません。
4つ目の『白夜』・・これは、元々は『はくや』と読んでいたようです。
学生時代に、漢字テストで『はくや』と書いてバツをつけられた人は、怒っていいと思います。
(but maybe a bit too late?)
『びゃくや』と読むのが主流になったのは、1970年代に加藤登紀子さんが歌って大流行した名曲
『知床旅情』の歌詞の中に
”遥(はる)か国後(くなしり)に 白夜(びゃくや)は明ける”
という一節があったことに起因するようです。
世界遺産に登録されている知床羅臼・・ここの日の出は国後島から上がるのですが、6月から7月にかけては、日の出時間が 3時36分~3時40分ごろになるそうです。福岡の 5時8分~5時9分ごろと比べたら、随分早いですね。
この歌を作詞作曲をした森繫久彌さんは、その地方では早くに夜が明ける様子が「まるで白夜のようだ」ということを、歌詞で表現したのでしょう。
「え?知床で白夜見られるの?」と思った方、実際は白夜ではありませんので悪しからず。
白夜というのは、概ね、北緯66.6度以北の地方(=北極圏)と南緯66.6度以南の地方(=南極圏)で見られる現象です。(ウィキペディアによる)
これらの高緯度地方では、真夜中であっても太陽が見られるため、英語では白夜のことを
midnight sun と言います。まんまですねw
(写真の下に記事が続きます。写真はサンクトペテルブルグの白夜の様子です。)
初見の熟語や表現を辞書で調べてみる人が少なく、みながテキトーな読みで使っていると、感染的に誤読や誤用が広がり、いつしかそちらが主流になり、認知され定着していきます。
英単語の発音も、日本では、本来の発音と違ったものが根を下ろしているケースがあります。
もっと多くの人が、辞書を引いて、語義や発音記号を見るようになれば、日本人の英語の理解も発音も もっと向上するのではと思うのですが、なかなかそのような変化は起きないようです。
そんな中で 地道に単語の語義と発音記号を調べ、それに倣って正しく用い、発音している人たちが、他の平均的学習者から抜きんでるのは、ごく自然なことではないでしょうか。
ここまで読んで下さり、有難うございました。
写真提供:masa2さん 『6月のサンクトペテルブルグ。午前2時頃の風景。このまま日が沈むと思いきや、また明るくなるという、北欧に近いならではの景色です。』
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