Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

森の思想が人類を救う

2020.08.09 03:06

ナカムラクリニック@nakamuraclinic8

梅原猛,"美しい国"を掲げる安倍総理へ一言

"確かに日本は美しい.しかし"美しい日本人"とは?東条英機ですか?小泉純一郎?そうではありません.それは菅原道真であり,世阿弥であり,千利休です.彼らは皆,時の権力に殺されました"

美は権力者にとって常に不都合だった.美しくあろうとする日本人は殺される…


https://note.com/miurayutaka/n/nb454711e57e1  【森の思想が人類を救う】  より

今年(2019年)の1月12日に、梅原 猛( うめはら たけし )さんが他界されました。

戦後を代表する哲学者で、享年93才でした。

哲学者といえば西洋哲学の研究をしている人が大多数ですが、そんな中、梅原さんは西洋哲学の研究から日本仏教を中心とした日本人の精神性を研究された異色の哲学者でした。

京都・東山の自邸で梅原さんが思索を重ねておられることが、僕の心のどこかで支えになっていたことに、訃報を聞いてから、あらためて気づかされています。

つらつらと分かったようなことを書きましたが、僕は今まで哲学書を一冊も読み切れたことがありません。

あの哲学書特有の、行間の詰まった濃密な言葉の羅列を読み解くことが、どうしてもできないのです。

だから、「 ハイデガーは・・・ 」「デカルトの思想としては・・・」など長時間にわたって論ずることができる人のことを、心の底から尊敬しています。

そんな哲学の世界で、梅原さんは、マルクス主義が興隆した戦後の日本社会の只中にいながら、ただひたすらに、あらゆる文明・文化圏、地球の全ての人類に対応できる「人類哲学」を打ち立てようと奔走されました。

近年の日本社会では縄文文化への評価が高まっていますが、戦後の日本社会では、「 弥生文化こそが日本文化の根底にあって、縄文文化はよく分からない野蛮な時代 」とされてきました。

梅原 猛さんと岡本 太郎さんがいなかったら、現在のように縄文時代を見直す機運はきっと生まれなかったと思います。

現代を生きる多くの人と同様に、若い頃の僕は「 森 」と無縁に生きていましたが、大学生の時に読んだ梅原 猛さんの著作「 森の思想が人類を救う 」を読んで、雷に打たれたような強い衝撃を受けました。

梅原さんの訃報(ふほう )を受けて、「 森の思想が人類を救う 」を、約20年ぶりに読んでみました。

驚いたことに、僕は本の内容を全く覚えていませんでした。

覚えてはいなくても、大学生だった20年前の僕を森へ誘ってくれた熱量を再び感じとることができて、初心に生まれ返ったような心地がしました。

以下、本文の一部を抜粋させてもらいます。

森の宗教の思想について、私は長い間いろいろ考えてきたのですが、結局、森の宗教の思想は、生きとし生けるものはすべて共通の命で生きている、そして生きとし生けるものはすべて成仏することができるという考え方だと、最近思うようになりました。

動物も植物も、山や川すら成仏できる。そして成仏するばかりでなく、生きとし生けるものはすべて生死の間を循環している。

生きとし生けるものはすべて死ぬ、そしてまた生き返るのです。どのようにして生き返るかというと、また子孫になって生き返ってくる。

森の文明の考え方の基本は「生命はひとつだ」ということです。じつはこのことは高度に発達した自然科学によって証明されています。

現代の生化学は、最後にDNAを発見したわけですが、DNAは人間にも動物にも共通にあることがわかった。

これは生命はひとつだということのなによりの証明です。旧石器時代以来の考え方が科学的に実証されたのです。人間は生死をくり返す、そして個体は死ぬけれども、遺伝子は永遠に生き残るのです。それが人間の永生なのです。

植物や動物の命を尊敬して天地自然を尊敬する、そしてその天地自然や動植物と調和して生きていく、共生する方法をわれわれは考えなければならないのです。それが人間の知恵である。

5年ほど前の秋のことです。

山形県、湯殿山の森の中にある施設へ行った時に、梅原さんが書かれた書を目にしました。

その言葉は、まさに梅原さんが生きてこられた世界観そのもので、

僕もそうありたいと願っています。

梅原 猛さん、ほんとうに、ありがとうございました。

ご冥福をお祈りしています。

どのような形なのか、今はまだ皆目分かりませんが、またお目にかかれることを、心待ちにしております。