Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

私たちの磨くべき「武器」

2020.08.09 07:20

Facebook・船木 威徳さん投稿記事 【 私たちの磨くべき「武器」 】

昨年から、私が情報源としている複数の信頼する人たちが2020年には、「なんらかの感染症の世界的なまん延」と「世界的な不況~恐慌のはじまり」を、しつこく話していました。

ですから、昨年末から年明けにかけての新型感染症騒ぎが始まったときには、むしろ、私は自分のクリニックの経営もそうですが地元の経済がどうなるか、国民の生命と両輪をなす

この国の経済がどうなってゆくのかを考えながら毎日、仕事に出ては、見えない明日を想像して今日の仕事をやってきたわけです。

シンプルに、クリニックも地域のローカルビジネスのひとつだと考え、こうした社会的な危機に、(ウイルスそのものの医学的な意味はおいておきますが結果として、とんでもない社会活動の停滞が引き起こされたことは事実ですから)地域の構成員として、なにができるかを第一に考え、売上を増やすことよりも、優先しなければならないことを実行してきたつもりです。「夏までは、儲けは忘れて患者さんだけではなく、地域の仲間を支える」ことに

フォーカスしてきました。

患者さんたちを迎え、患者さんたちのもとへ行くのをあたりまえに続けることが私たちの最低限の務めです。

どんなに世間が不安や恐怖をあおられようが、粘り強く理解を求め、1分でも、患者さんの顔を見ることを徹底してきました。

さらに、地域で、ともに医療、介護、福祉の世界を支えている、私たちにとっては必須の仲間にあたるみなさんをねぎらい、励まし、できるかぎり、無駄な話、余計な書類のやりとりをしないで済むよう、業務の見直しをはかってきました。

結果どうなったか。

外来の患者さんは例年の半分になった月もありますがこの6月には受診者数ももとに戻り、むしろ、先月から週で見るとこれまでにない伸びを示しつつあります。

この混乱期に、かえって、職員たちのパフォーマンスや一体感が増し、じわじわと成果が上がっているのを感じます。お金よりも、職員たちの仕事に情熱を傾けているときの顔が、私にはなにより誇らしいです。

私は、経営者とは言え、クリニックを開いてようやく10年目という初心者に毛が生えたような者なので、偉そうなことは言えません。しかし、いま、経営に苦しんでいる医療や介護の経営者仲間、中小企業の経営者の人たちのために、なにかひとつでも力になれればと思い、私がここ半年、毎日のように心がけて実行してきたことを挙げておきます。

★中小企業のトップの私が経営者としてこの社会的危機に実行してきたこと

1) スタッフに法人の行き先を常に示す

2) スタッフに事実をありのままに伝える

3) 自分のうちだけで、最悪のシナリオを描く

4) 誰とも話し合わず、さっさとやり方を変える

5) 忙しくしない、不機嫌にならない

もちろん、私のやり方がすべての面で優れているなどと言うつもりはありませんし、実際、この社会不安の強いなか、辞めてゆく職員も複数おりました。

上の1)から5)のなかでも特に大事なのは、1)だと考えています。新入職員の面談や試験でも、

法人の行き先(ビジョン)については、しつこく話を繰り返しています。

どこの国に行ってもそうですが、初めてのできごとや不安、恐怖さえ感じる旅行の帰り道、空港で、自分の乗る飛行機の行き先にNARITAとかTOKYOと表示されているときの安心感、信頼感を感じる方は少なくないでしょう。

「このままどうなってしまうのだろう?うちの会社は?うちのクリニックは・・・?」この変化が著しい世界でやはり同じように、不安にさいなまれる社員も少なくありません。

だからこそ「心配しなくていいよ。私やあなたが乗っている飛行機はちゃんと成田を目指しているから」「だから、心配するよりも、そのプロセスで、同じ飛行機(会社・法人)に乗り合わせた、パートナー(社員)として、何ができるかを徹底して考えて、それを実行していこうよ」という話ができるのだと、私は考えています。

この5つの項目を全部話せば、また長くなってしまうので特に私が大事だなと感じていることをもうひとつだけ挙げておきます。

トップは「ヒマであるべき」だということです。

そのヒマな時間、ひたすら考えるのです。

本をたくさん読んでも、そのままにしないで自分の仕事、会社の仕事と具体的に結びつけて

「じゃあ、明日なにをするか、何を変えるか?」をひたすら考えてゆきます。

この社会は、世界は、どうなってしまうのか?結局のところ、いまの感染症問題はどこに向かうのか?

この不況が、いま言われているように世界恐慌になりとんでもない食糧不足、ハイパーインフレになると私や私たちは、その翌日から何をすればいいのか?

うわさ通りに新たな感染症が蔓延したらどうするか?

お金の蓄えはどれくらいあればいいのか?

借りてでも現金を手元に置くべきなのか?

・・・。

でも、だからといって、社長や院長が不機嫌になったり、怒鳴り散らしたり、自分が決めてうまくいかなかったことを社員のせいにしたりしては絶対にいけません。作り笑いをする必要はないと思いますが、(恥をしのんで、自分の反省をこめて言えば)トップが感情的になって、部下が一時的にびびり、怖心で従ったとしても、長くは続きません。

陰では、そのトップのことをバカにしているかまじめな社員なら、ますます不安を大きくしてしまっているかも知れません。

なにがあっても、感情の起伏を部下に丸出しにしてプラスになることは一切ない、ということです。

この、新型感染症の騒ぎが始まってから読んだ本のなかで、「これからの社会は本当にこうなるだろう、そしてこうすれば道が開けるかもしれない」というすばらしく参考になる一冊があります。

冨山和彦さん(産業再生機構のCOOを経て、カネボウ、JAL、東電や商工中金などの再建にかかわってきた。現在IGPI、代表取締役CEO)の著書で、1日で読み切れるくらいの厚さですが、その題名が、『コロナショック・サバイバル~日本経済復興計画』

復旧ではなく「復興」です。しかも、表紙にある英語の副題が「Surviving the C○R○NA War」・・・Warという

ことばを使っていることでも、ただの未来予想本ではない真剣さが伝わると思います。

この本について、くわしい説明をしたいのですがやはり、事は急ぐべき状況にあります。「第2章『企業が、個人が、政府が生き残る鍵はこれだ』」という、おそらく著者がもっとも伝えたいと考えているであろう部分を引用させていただきます。

----------------------

日本の金融危機とリーマンショックの歴史が示唆する学びとはさあ、ここからいよいよ、私たちIGPIプロフェッショナルが実際に経験してきた危機の経営史、「臨床経験」からの具体的な示唆、経営者にとってのサバイバル成功の心得である。

●修羅場の経営の心得 (1) -----想像力

「最悪の想定を置き、最善の準備をせよ」

(・・・「杞憂で終わって良かったね」となるのが、最良の展開である。最悪の想定を前にして、かえってアドレナリンが出て戦闘意欲がわき、副交感神経が活性化して頭は冷静に冴えわたるタイプの経営者、経営チームが危機の経営を生き残るのだ。・・・)

●修羅場の経営の心得 (2) -----透明性

「りそな再建の教訓: Bad Newsをあからさまにせよ、信用毀損をおそれるな」(・・・しかし、経営危機に際して、企業に致命傷を与えかねない重大なBad Newsこそが重要なThe News
なのである。これを抜きに意志決定をすることは致命的な間違いを起こす可能性が高い。・・・)

●修羅場の経営の心得 (3) -----現金残高

「短期的なPL目標は本気で捨てろ。日繰りのキャッシュ管理がすべてだ」(・・・危機が迫ったら、まずはこの仕組み(社内すべての現預金の出入りと残高を日繰りで管理できる体制)を簡便なものでいいから、極論すれば毎日エクセル集計で構わないから整えることである。それから経済危機が長引きそうな場合、同時にこの先1年間くらいのキャッシュ・ポジション・シミュレーションをいくつかのシナリオで用意し、そのモデルを随時、アップデートしていく体制も整えなくてはならない。・・・)

●修羅場の経営の心得 (4) -----捨てる覚悟

「何を本当に残すか、迅速果断な『あれか、これか』の『トリアージ』経営を行え」

(・・・会社が生きるか死ぬかの状況で、「何よりも会社の遺伝子を残したい」とか「この素晴らしい企業文化は絶対に守る」とか「従業員だけは絶対全員守る」とか美辞麗句を並べだす経営者がいつも出てくるが、そんな綺麗ごとの観念論で飯は食えない、日々の生活を営んでいく人々の人生は救えない。より大きな善のために捨てざるを得ないものは果断に捨てるべし。・・・)

●修羅場の経営の心得 (5) -----独断即決

「戦時独裁ができるトップ、姿が見えるトップを選び真の『プロ』を集めて即断即決、朝令暮改」(・・・情報は徹底的に集めるが最後は孤独に独断で決めるタイプが、言うまでもなく明確に危機に強いリーダー(のタイプ)・・・)

(・・・ここはトップダウンの経営しかない。トップ自身のイニシアティブで、社内外から本物のプロを集め有事オペレーション体制を組み、即断即決で危機に対峙していくべし。社内外に向けて自分の姿をさらし、自分の意志で決めたことを自分のことばで発信し、その結果もすべて自分が引き受ける。そして、状況が変われば、間違いに気が付いたら、即座に朝令暮改。君子豹変すべし、恥も外聞も気にしている場合ではない。・・・)

●修羅場の経営の心得 (6) -----タフネス

「DRAM産業(エルピーダ)喪失の教訓-----手段に聖域を作るな、法的整理でさえ手段に過ぎない」(・・・危機のリーダーは、自分が正しいと信じる目的を実現するためには手段の選択についていかなる批判にも耐える覚悟をし、最後の最後まで戦場に立ち続ける胆力を持つ「ザ・ラストマン・スタンディング」でなければならない。経営危機における正義は事業をどんな形であれサバイバルさせること(雇用も事業があるから守れる)であり、そのためには手段に聖域を作ってはならないのである。・・・)

●修羅場の経営の心得 (7) -----資本の名人

「JAL再建の教訓-----2種類の『お金』を用意せよ」(・・・資金繰り有志はデット性の資本であり、返済猶予があっても無利子であっても無担保であっても借金は借金。・・・売上の長期減少による赤字を補う資金や構造改革資金は、極力、もらい切りのお金、すなわち助成金や給付金、あるいは誰かに出資してもらう、買収してもらうことで手に入るエクイティ性の資本でまかなうべきである。・・・)

●修羅場の経営の心得 (8) -----ネアカ

「危機は、新たなビジネスチャンス!『国民感情』に流されず投資や買収に打って出よ」

(大きな危機は必ず終わる。・・・「国民感情」や「社内の空気」などという実体不明のお化けに惑わされず、「理屈通り」にやるのが経営である。理屈通りやらないから、多くの人が仕事を失い、未来を摑むチャンスを逸する。合理する力こそが未来を摑む力

なのだ。私の経験で言えば、この力を持っているリーダーの共通点はネアカであること。どんな絶望的な状況にいても「理屈通りにベストを尽くせば必ず最良の結果が待っている。それでダメならしょうがない。その時、また次の手を考えるさ」という、前向きな諦観、居直りができるリーダーである。・・・)

----------------------(引用終)

多くの人たちにそれぞれ、信じることがあり時に違いを批判し合っています。しかし、間違っても、いまは争ったり、競ったりする時ありません。

ひとつのできごとを見ても、さまざまな解釈、考え方があってもいいし、それこそが健全な

社会のありかたでしょう。

しかし、何度も言っていますが、私たちを支配し、利用し、好きに操ろうとする者たちは

実際に、この世にいるし、私たちが対立し、離ればなれになることは、こうした支配者たちを利するだけだと、私は信じています。

私たちは、個人として、会社などの組織としても社会や国としても、サバイバルしなければなりません。互いが助け合って、エゴを捨て、絶対に生き延びるために力を合わせる必要があります。

そうすることの「目的」は「生き延びること、サバイバルすること」です。そのために、「手段」として学び、議論し、権力を持つ者たちが都合良く隠し続けている真実を明らかにして、これから起きることに対しても、私たちがどのように行動するかを考えるのです。

この「手段」の方針がすこし違うからと言って私たちが互いに敵対し、争うのはおかしな事で、力を持つ者たちの思うツボです。

権力者、支配者の都合のよい働き蟻にされずかれらの巧みなウソにはめられないためには

私たちは、目的と手段を取り違えて、くだらないことで分派したり、争ったり感情を振り回されずに、歴史に学び、真実とは何かを冷静に学び、自分の考えを常に大切にすることだと思います。

繰り返しますが、私たちは、なにがなんでも、生き延びるのです。

それは、単に息をして、飲み食いできることを言っているのではありません。

真の意味で、自由にモノを言い、自由にふるまい、自由に自分の人生を生き抜く当然の権利を、ごく一部の(勝手な思想に染まった病者に過ぎない)この世の支配者、権力者たちに売り渡してはいけない。

私たちは生き延びるのです。私たちが作り、また私たちが勤める会社も私たちの祖先が自由を得るために守ってきた私たちの国も、生き延びなければならないのです。文字通り、これは戦争だと私は考えています。

ただ、いまのままでは私たちに勝ち目などありません。

銃弾、爆弾やミサイルの代わりに、私たちは、もっと、見えない武器を

想い出して、さび付いたそれらをピカピカに磨きをかけるべき時期に入っています。

●このすばらしい世界にそれでも生きていられる「喜び」と、

●同じ時代を生き、互いに教え合い、互いに支え合う人々への「感謝」と、

●私たちの命が取り去られても、絶えることなくこの世に残る「愛」を

これらの3つの力を込めた「ことば」という武器で教えあい、許し合い、励まし合うことでしか私たちには勝利の道、つまり、「自由を守って、生き残る」道はもはや残されていないと

私は、そう感じています。

~王子北口内科クリニック院長・ふなきたけのり