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鳥籠に囚われた姫

2016.06.20 02:11

永倉新八や原田左之助らは芹沢鴨と島原に向かったが、総司は断った。

もう疲れて眠いからと弁解したが、本当は違った。

(せっかくの酒がまずくなるんだよね)

芹沢の手柄顔が総司の癪にさわっていた。

湯浴みをしたら、少しさっぱりした。

総司は自然とすみれの寝所に足を向けた。

「歳三兄さんから目を離すなって言われてるしね」

言い訳がましくつぶやいた総司は、すみれの寝所の前で足を止めた。

障子から灯りが滲んでいる。

こんな遅い時間に起きてる?

不審に思った総司の耳にすみれの喘ぎ声が入った。

「んんっ」

かすかな衣摺れと口づけられる音。


誰かが夜這いに来ているようだ。


「大丈夫か? すみれ」

一の囁く声がした。

すみれの艶っぽい声がこたえる。

「大丈夫です……兄上様こそ、お疲れでは……」

「俺はいい。こうしているほうが疲れが取れる」

(相手は一くんか。今夜は先を越されちゃったか)

胸にじりじりと灼けつく痛みを感じながら、総司は自分の寝所へと引き返した。