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こだま美由希ピアノ教室・広島市中区

【ピアノ、その左手の響き】

2016.06.20 05:43

左手のピアニスト

って聞くと、どう皆さんは連想されるだろうか?



第2時世界大戦時、多くの音楽家も戦場へ駆り出された。

あの戦場のピアニストも実話だけに

なんとも言えない気分だ。


その戦場で、大切な右手を奪われたピアニストがいる。

たとえばウィトゲンシュタイン、ホルマンなど



たとえば、ラベルの左手のためのピアノ協奏曲は

ウィトゲンシュタインの依頼を受けてかかれたものだ。



最近では、北欧在住の舘野泉さんが脳溢血になられて

左手での演奏で復活され多くのファンを魅了されておられる。



今回、ご紹介するのは 智内威雄さんという

左手のピアニスト。



お目にかかったこともまだ、

演奏を拝聴したこともないのだけど。



最近出版された

「ピアノ、その左手の響き」を拝読した。



局所性ジストニアをドイツ留学時代に発症され

現在は左手のピアニストとしてご活躍。



ご本を拝読して感じるのは

ご本人も書いておられように

グレン=グールドがクリエイトしてしまった

あの卓越したバッハの世界。


たとえば、不眠症の王様のためにバッハが書いた

ゴールドベルク変奏曲。



グールドの演奏は本当に多くの人を魅了する録音。

私も1981年の録音のものを

狂ったように聴いたものだ。



何度か録音してるけど

この年の録音が一番好きなんだな!


今でも時に無性に聴きたくなって聴く。


そのような世界を左手のピアニストとして

智内さんは作り上げることに専念されている。



要は、両手での演奏が難しくなったから

左手のみの奏者ということではなく

そこにしか存在し得ない芸術性を

追求していらっしゃる。



そう、学生時代はオールマイティに

すべての時代の作品を学ぶ必要がある。

これはとても大切なことだ。



しかし、社会に出てある程度研鑽を積めば

自分の好きな時代、作曲家を磨き上げて

表現していくのもこれからの時代は必要。



伴奏といっても、オペラの伴奏は

コルペティといって、その道を専門に学んだ

ピアニストがいる。


歌のレッスンもできちゃう人たちだ。



そのように、一口にピアニストといっても

様々なタイプ、専門性があり

これは一般の人たちには理解しがたい世界だと思う。



伴奏もオペラ、歌曲、(イタリア、ドイツ、フランスなど)

奏法や解釈が違う。



だからこそヨーロッパの人たちは

ひとまとめにクラシックと言われると

「それは違う!民族音楽だ!!」

となるのであろう。



クラシックと言えども、医学のごとく

専門性が分かれているといっても過言ではない。



智内さんの話から脱線したけど

左手のピアノの可能性がまだまだ未知数であること

無限であることを感じさせられるご著書である。



智内さんの10代の学びの時間は

羨ましい限り。。

私は、そのように没頭することが

なんというかいろんな事情でできなかったから。。



私がここでなんだかんだと言うより

ぜひ、読んでいただいたい1冊ですね。