Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

梨の日

映画『完璧な他人』楽しすぎた

2020.08.10 07:28

映画『完璧な他人』


監督:イ・ジェギュ

出演:ユ・ヘジン/チョ・ジヌン/

イ・ソジン/ヨム・ジョンア/

キム・ジス/ソン・ユハン/

ユン・ギョンホ/ジウ




イタリアの映画『おとなの事情』が元となっている韓国映画。

公開時、めっちゃくそ観たくて観たくてたまらなくて逃して、やっとやっとTSUTAYAで狙って観れた〜〜っ。


これ、劇場の1回鑑賞だけだと、帰り道に「?」が止まらなかった系。


ネタバレモロバレ考察あれこれ込みで書きたいだけ書く!

今回だけは言っておきます、

ネタバレモロバレ全開で、書きたいだけダダダーーーっと、書く!笑)


脳汁ダラダラ刺激された最高映画だった!



・・・



ワンシチュエーションもの。

小学校からの男幼馴染みが40歳頃になって、メインの医者のご自宅にて食事会、が物語のベース。

そこから、妻、彼女を連れて、団欒が進む中、医者の妻でありカウンセラーが職のその妻が、とある提案をする。

「携帯が鳴ったら、全部公開するっていうの、どう?」


メールは読み上げ、電話はスピーカーにてみんなの前で大公開するというもの。

ゾッとする人は現代、いっぱいいるんじゃないかしら。笑)


DVDにおまけで入っていたスタッフ陣の裏話で、若いスタッフの子たちが実際にやってみたところ、開始15分で険悪ムードになったらしい。爆笑)


携帯の中には隠し事がたくさん…。

誤解も混乱も、派手ではないものの事件が次々起きてゆき大波乱のラストに…。


と思いきや、突然、本当に突然、そんな大惨事などなかったかのような帰宅シーンが入ってくる。

さっきまで観てた事件たちは?

大喧嘩は???

帰ったはずの人はいるし、何が何やらで終わってゆく。


「夢おち…?」

頭にいっぱい“?“を浮かべつつ、即ググる←

ビックリな作り込み演出が、折り込まれてました。


【パラレルワールド説】

月が冒頭に出てきたり、会食の日は皆既月食で月が赤くなり、不穏なことが起きるフラグが立っている。


合間にも何度か、さりげなーく徐々に欠けてゆく月が映る。

ゲームが始まって少し経った頃、展開が一気に変わる。


空気を変えようと外に出て、皆んなで月を見上げるシーンから、実は「スマホを見なかった世界」と「スマホを見た、ゲーム続行の世界」に別れていたのだとか…!

これ知ってから、もう楽しさが止まらない。

映画の中では「スマホを見る、ゲームが続行されたなら…?」の世界として進行してゆくのだ。


ラストの帰宅シーンでは月が戻っている。

つまりあの時に「ゲームを中断した」世界から、最後に繋がっていた。


巧妙なのは、月食を見上げてから起きる小さな違いたち。


【スマホが自分から他人へ】

世界がパラレルする前の、まだ楽しい頃。

そこまでは、携帯が鳴っても、所持主が必ず取って皆んなに見せていた。

しかしパラレル後は、携帯が鳴った後、次第に”他人“が触るようになっている。

月を見上げた直後、女の子の携帯で「皆んなで写真撮ろうよ」という提案をした後、自撮り画面に元カレからのLINEのポップアップが出ると、彼氏が携帯を取りあげ騒ぐようになり、すぐに実行されていたことが解る。


見直して更に面白かったもう1点は、見直して気づく僅かな演技。


夫婦間に少々問題を抱えた夫婦がいる。

ゲーム続行すると、破綻もいいほどしっちゃかめっちゃかに嵐を起こすのだが。


【伏線たち】

その前に伏線として、弁護士である夫が妻の交通事故の件をかばって、自分が訴えられることが少し挟まれる。

思えば、妻がお酒を飲もうとすると、慌てて飲むのを辞めたりしている。

妻はきっと、飲酒運転で事故ったんだろうなぁ、なんて後に分かってくる。

招かれた場にも車で来ている、から、当然飲酒は出来ない。


ところが。

途中で彼女は怒りに耐えきれず、

ワインを一気飲みーー!


注目したいのが、それまでの彼女のグラス。

彼女の前には皆んなと同様、グラスに注がれた赤ワインが置いてある。

普通に観ていれば、当然彼女も一緒に飲んでいるような感覚になる、が…!

巻き戻して観ると、一切、手を付けていなかった。爆)

どころか、会食が始まってすぐ辺り。

一度ワイングラスを手にしているのだけど、口元まで持って行き、隣の旦那をチラ見して「おっといけない…」と踏みとどまって飲まずに置いていた。

これを、ワンカットだけ、芝居だけで示している。

くぁ〜やられたーーぁ。たまらん)


パラレルする前まで彼女は、しっかりノンアルコールで過ごしていた。

し、逆を言えば、パラレルしてからの一気飲みだった。


【インセプション】

パラレルした世界でのクライマックス。

獣医の彼女と浮気性なチャラ男さんの新婚さん。

お互い指には指輪がキラリ。

この指輪、最後に彼女がお別れね、と言わんばかりにテーブルにポイとしてゆく。

くるくると回り続ける指輪。

皆んなが帰ったあと、家主の夫婦のカットまで入って月が映ってから再び映ると…

まさかの、まだ回っている…!?

ここで違和感を覚えた後に、突然仲良さげに一緒に帰宅してゆく各夫婦のシーンになった。

指輪は、怒涛の???の開幕の合図だったよう。笑)


ありえない程に回り続ける指輪。

そう、本当に、あり得ない世界だったから。

考察している人の中には『インセプション』をモチーフにしているようだ、ともあり、つまりは「現実世界ではない」ことを示しているのだとか…!


不思議な違和感の残し方が、さりげなさすぎる…。笑)


【カメオ出演】

電話がきたら通話を一緒に聞く、というルールなので、声だけの出演にも気合いの入った今作。


みんなの校長先生でありヨンベ(唯一の独り身)のお父さんには、イ・スンジェ。

ラ・ミランは、THE・女友達として本人から聞いていた悪口を、悪気もなくポロリと爆弾を落とす。笑)

チョ・ジョンソクは、元カレという立場で真剣に慌てふためき、電話口での爆笑をかっさらう。笑)

他にも、チョ・ダルファンやチン・ソンギュといった俳優も声のみで彩る。


韓国俳優がお好きな方には、たまらないかもしれない。。



色々拾うものが多くって、おかげで1度では全然スッキリしない。笑)

ただ、俳優陣の巧みさによって会話劇を凄く楽しめる。


最後の帰宅シーンで突然、今まで観ていたものの楽しさをひっくり返す仕掛け。

でも引き返して観ると、キッチリ描かれていたし残されていた。


撮影や編集しながら、関係者はニヤニヤしてただろうなぁ〜。

分かってくると、こちらも「やってくれるな〜っ」とニヤニヤが止まらない。



深堀りや考察、巧妙な会話劇、実は…という謎解きが好きな方にオススメすぎる。

おとなの超ブラックコメディーー。


実は観た日はちょっと前になるもんだから、まだこぼした点があるかも。

ただもう、ひたすらに楽しいひと時でした。





実は日本でも、リメイクが決まったそうで!


イタリアと同じ題名(邦題)『おとなの事情』と加えて『スマホをのぞいたら』の副題付き。(相変わらず日本は副題多いなぁ)



イタリアの本編を観ていないから、韓国版がどこまで演出されているのか分からないけど。

あの巧妙な作りを、邦画だとどう扱うのか、気になるところです。

カメオ出演も豪華俳優陣の起用があるのかしら…!



『おとなの事情 スマホをのぞいたら』



ひとしきり観て、謎解きしたから、今度は1度で色々分かるハズ…!

楽しみ〜。