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京都市桂坂 動物図鑑

ヒグラシ

2020.08.15 00:40

ヒグラシというセミは、「ひぐらしという蝉」と書いた方がしっくりします。なんか日本的な詫びを感じさせる鳴き声は、明るい西洋式庭園にはあまり馴染まず、深山にある苔むした寺の夕暮れを彷彿とさせる鳴き声の響きがあります。

写真のひぐらしはオオカマキリにやられちゃった絵ですが、これはおそらく夕刻に森から住宅街に移動してきたひぐらしがやられたのでしょう。オオカマキリは草原のカマキリ、一方ひぐらしの住む森によくいるのはハラビロカマキリです。

ひぐらしの体は茶色っぽくて緑色がとところどころにあしらわれた色彩となっていまして、これはおそらく苔むした樹木にとまると木の肌に擬態できるからではないでしょうか。そのぐらいひぐらしは「陰」の蝉で、姿がちょい似のツクツクボウシとは対照的な存在です。

ひぐらしは夕刻に鳴くイメージありますが、けっこう早起きで、朝もはよから鳴き始めます。森のキャンプ場で夏場に泊まると、やっと朝日が昇り始めるような薄明るくなりかけの時刻に、ひぐらしの誰かがウォーミングアップするように低い声で自動車のエンジンがかかるようなグワグワグワグワ・・・と鳴き出した・・・かと思ったら周囲にいるひぐらし達に一斉に伝播してそこら中がグワグワグワグワ・・・だらけの音になってしまいます。だいたい森のキャンプ場はこの鳴き声で寝ていられなくなり人間も早起きするんじゃないか?と思われます。

そのグワグワのウォーミングアップがしばらく続くと誰か一匹が急にカナカナカナカナっていうあのひぐらしらしいサウンドを響かせ始めるんですね。そしたらまたもやそれが周囲に一斉伝播してカナカナだらけの鳴き声に変化するという、ひぐらしはまったく付和雷同なんじゃないか?と思ってしまいたくなる集団性があります。最初の一匹が首相とかで、その他の蝉たちはそのカナカナの一声に忖度して鳴き出すのでしょうかね?