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エキウミ:茅ヶ崎のローカルインタビューメディア

【プロサーファーの大澤伸幸さん】楽しんで自分の人生を生きる 茅ヶ崎の大人たち

2020.08.14 21:00

前半に続き、茅ヶ崎に住むユニークな方を紹介する「茅ヶ崎で暮らす人」。今回は茅ヶ崎出身・茅ヶ崎在住のプロサーファー大澤伸幸(おおさわ・のぶゆき)さんにご登場いただきます。地元の中学校を卒業後、単身でオーストラリアへのサーフィン修行。2010JPSAグランドチャンピオンであり、子ども2人の父親。そんな大澤さんのサーファーの生き方やライフスタイルとは?ぜひお楽しみください。(全2回)


▼大澤伸幸さんのご経歴

1988年生まれ、神奈川県茅ヶ崎市出身。茅ヶ崎在住のプロサーファー。湘南のサーフィンスクールや専門誌特集を通じて、サーファーのチャレンジやスキルアップをサポートしている。2010JPSAグランドチャンピオン。奥さんと子ども2人の4人家族。大澤 伸幸 YOUTUBE "NEW BIGINNING"


■オーストラリアのサーフィン修行から得られた大きな経験


――― 前半のお話、ありがとうございました。後半もよろしくお願いいたします。


大澤 よろしくお願いします。


――― 大澤さんは、早くからプロとしてサーフィンをされ続けていますよね?


大澤 はい。早くからやらせてもらってます。


――― 現在32歳(取材時)にして、プロ十数年、サーフィン歴30年近くにもなりますね。


大澤 今までずっとやれてこれたのは、17歳で本場・オーストラリアの舞台に身を置いてサーフィン修行をしたことが大きい経験でした。


――― 詳しく聞かせてもらえますか?


大澤 10代の頃から、未来の自分がプロとして歩む道を考えるうえで、日本ではなく本場オーストラリアの舞台を目指していました。

そこに身を置くために、中学を卒業後、日本で数々の仕事を掛け持ちして資金を集めました。

結果、約2年間オーストラリア修行の資金を親に頼る事なく自力で集めました。


――― オーストラリアでの資金をご自分で。


大澤 そうですね。17歳でサーフィン修行の旅へと単身で向かい、現地ではトレーニング・サーフィン・大会に没頭する期間となりました。

夢も成長も親が叶えてくれるのではありません。

すべてを自力でやる事で、自分とも向き合いますし、葛藤もします。

結果として、成長して強くなれたように感じます。


――― それが大きなきっかけとなった訳ですね!


大澤 そうですね。そのきっかけが今につながっていると思いますよ。


■自分の好きなことを 一生懸命やれる大人になりたい


大澤 父親も「自分のことは自分で決めろ」と繰り返し話してくれていたこともあって。


――― 自分のことは自分で決めるというお父さんの教えがあったのですね。


大澤 そうですね。加えて、「自分の好きなことを一生懸命やれる大人になりたい」という気持ちもあり、オーストラリアでのサーフィンへとつながりました。


――― 自分の好きなことを一生懸命やる、ということですね。


大澤 うちの子が保育園へ通い出した頃ですが、尋常じゃないくらい通うのを泣いてイヤがっていました。

それも、はじめの2か月間ぐらいずっと。


――― それなりに長めですね。


大澤 そんな子供の姿を見ていて、「子供も、大人と変わらず一生懸命に生きている」

そんなふうに感じられたんです。

今となっては、好きな友だちができたようで「迎えにくる時間、早いよ!」なんて言われるようになりましたが(笑) 


――― 随分とたくましくなりましたね(笑)でも、子どもだって大人と同じだということですよね。


■子ども時代に憧れた大人たちのように生きたい


大澤 えぇ。だからこそ、親である自分も想いを持って、曲げずにトライをして生きていこうと思います。

そういう大人でありたいですね。

子どもの頃に、「楽しむ大人っていいな」って思わせてくれた大人たちのように(笑)


――― 茅ヶ崎の楽しむ人の魅力がよくわかる気がしています。


大澤 茅ヶ崎って『全快オープン!』にしていいと思っていて。そんなまちなんですよ。


――― まちの魅力ですね。


大澤 茅ヶ崎のイベントって、音楽やお祭りなどあるじゃないですか。

そんな時も、個人個人で全快オープンしていいと思っていて。


――― 茅ヶ崎ではみんなオープンなままでいいよ!と。


大澤 オーケーです。人の目や社会的にどうか、という視点もありますが、それも様々ですからね。


――― なるほど。


大澤 社会貢献というのも、自分にとっては「人に貢献できるか、共感されるか」とうこと。

それには、まずオープンに、自分が楽しむことがポイントかも。


――― 気持ちがオープンだから、楽しめるわけですよね。


大澤 はい。だから、若いサーファーや高校生、初心者の人たちのサーフィンスクールで教えるなかでも、サーフィンが楽しいと感じるきっかけになりたいな!って思います。


――― いいですね。


大澤 その人たちの気持ちや能力をサーフィンで活かせるなら、全力でサポートしたいと思うんですよね。

自分としては、子どもたちやサーフィンをする人たちに「楽しそうな大人だなぁ」って感じてもらえるような生き方をしていきたいです。


■夢を叶える よりも大事なメッセージ


――― 楽しく生きる大人、私もそうでありたいです。


大澤 すこし話が戻りますが、岡さん(前半でお話のあった RASH WET SUITS 代表の方)が俺にメッセージをくれていたように感じるんです。

「夢を叶えて欲しい」というより、「夢を叶えていく過程を大事にしていけよ」と。

「何も狙わなくていいぞ」

「楽しんだ結果が自分の財産になるぞ」

ハッキリと言葉では言われないものの、岡さんからそんなメッセージを感じました。


――― まさに、大澤さんが目指してきたこととも重なりますね。


大澤 そうなんですよ!


■10代に教わった「勝つことを覚えるな」「沢山負けろよ」ということ


大澤 たとえば、サーフィン一回の大会で100人が試合に出場しても、優勝するのは1人だけなんですよね。


――― たしかに。厳しい世界ですね。


大澤 そんななか、10代のときによく言われた言葉があります。

「勝つことを覚えるな」「沢山負けろよ」そうでなきゃ、「勝つ嬉しさを感じられないよ」と。

「沢山負けろよ」

そうでなきゃ、

「勝つ嬉しさを感じられないよ」

と。


――― そういうことですね。


大澤 自分はこれまで、日本のプロ大会で優勝した数は3回だけです。

どんなプロスポーツ選手もみんな誰もが、「ずっとは勝ち続けること」はできないんですよ。


――― そういうことなんですよね。


大澤 AbemaTV(アベマTV:インターネットテレビサービス)などでも沢山の人が観ています。

見る人たちの評価とかイメージとか、いろいろありますよね。

それでも「好きだからこそ」乗り越えていけます。


――― 好きだからこそ、なんですよね。


■つねに楽しんでいる生き方が『誰かの何かになる』


大澤 自分もサーフィンをやって、茅ヶ崎の大人を見て、「楽しそうだな 素敵だな」と思えてきました。


――― いいですよね!


大澤 仕事やサーフィンに問わず、普段から家族と一緒にいるときも、いつも楽しんでいること。

そんな生き方が、もしかしたら『誰かの何かになる』。そんな気がしますね。


――― 楽しむことが、誰かの何かにつながる訳ですよね。


大澤 そう思います。

これからの自分も、楽しんでいるサーファーや楽しんでいる親でありたい。

「すごく魅力的なことをやっているな」と思ってもらうことが自分の仕事だと思うので。


■今につながる 茅ヶ崎での経験談


――― 茅ヶ崎での経験が今につながっているというエピソードはありますか?


大澤 なんだろう…。

そういえば、学生時代の頃ですが、ある大人の人に目をつけられたことがあって。

「お前は、プロサーファーになれないし、立派な大人になれない」と言われ続けた時期がありました。


――― それは何とも…ですね。


大澤 言ってはいけない言葉だと思います。

自分や仲間たちを否定されて、悔しい思いをしました。


――― そうでしたか。


大澤 そんなことも含めてなんでもバネにして「いい経験」になってきたと思います。

結果、当時の仲間たちもやりたいことを貫いて、アーティストをやったり、会社を経営したりしていますので(笑)


■楽しんで生きていれば『誰かの何かになる』と信じて


――― これまでの経験をふまえて、これからの目指していきたいことはありますか?


大澤 楽しんで生きることですね。

自分が楽しんで生きることが、子どもや周囲の人たちにとっての『何か』になる信じてやってきました。

先ほどの悔しい経験もそうですが、残念ながら世の中は魅力的な大人だけではありません。


――― そうですね。


大澤 良し悪しは両方ある中で、自分自身は魅力的な大人でありたいなと。

今となっては、当時の自分の見られ方と180度変わった見られ方をされることもあります。


――― 時間が経って変わったんですね。


大澤 奥さんとの付き合いも長く、これまで一緒に歩んできたんですが、学生のときと今とでは周りの見方も違ったりしますね。


――― まわりの見方もその時々ですね。


大澤 えぇ。

それと、夫婦や家族それぞれの考え方だって、必ずしも一緒でなくて色々な考え方があっていいと思っています。


――― そう思えたら、楽しく生きられそうですよね。


大澤 大人が究極に楽しんでいることは大切だと思います。

大先輩にも「どうしよう、どうしようとか考えずに、楽しんでやれよ」と言われました。

魅力的な大人は、人生を心底楽しんでいる。そう思います。


――― お話を聞いて、私も楽しく生きる大人でありたいなと思えました。

本日は大切なお時間、ありがとうございました!


大澤 こちらこそ。どうもありがとうございました!


(おしまい)


【湘南・茅ヶ崎で暮らす人】プロサーファーの大澤伸幸さん

・第1話 サーフィンのイメージを変えたい その想いでやってきて

・第2話 楽しんで自分の人生を生きる 茅ヶ崎の大人たち


▼インタビュー・編集 Sasaki Yohei(facebook

岩手生まれの両親の次男坊。素直に義務教育を終えた後、高校から29歳までが葛藤期。長らくの冬眠期間を過ごし、かみさんと飲み会で出逢う。結婚を機に茅ヶ崎で暮らし、フラットな場所で水を得る。2014年より6年経ってなお、フラットな人とまちが好き。仕事はインターネット周辺。