超音波検査について
「超音波検査」という言葉は聞いたことがある…。
もしくは、飼い主さん自身も健康診断などで超音波検査を受けたことがある…。
けれど「実際に何を見ているのか?」「レントゲン検査とは何が違うのか?」など、超音波検査に対して疑問に思っている方は少なくないと思います。
そこで、今回は「超音波検査」について詳しく説明をしていきます。正しい知識を得て、安心して検査を利用しましょう。
超音波検査を用いる機会
超音波検査は、主に心臓と腹部の検査に使われます。
心臓の検査の場合、レントゲンでは形や大きさの違いくらいしか分からないのですが、超音波検査では断面積・容積の変化など、心臓の内部の様子がよく観察できるようになります。
腹部の検査の場合は、内部にあるコブの形や内部構造を確認するときに使われます。
その他の場合でも、レントゲンでは判断しにくい各臓器の内部構造(癌・肝硬変など)や早期の妊婦胎児診断(胎児の生存の有無)などにも使われています。
超音波検査の特徴
• 検査に痛みを伴いません。
• 色々な角度(方向)から臓器が観察でき、臓器の動きも確認できます。
• 精密検査にも使われ、検査結果がその場で分かります。
• 麻酔をかけずに行えるので、動物に負担がかかりません。
超音波検査で分かること
超音波検査はとても広い範囲まで見ることができますが、その中でも「見えやすい場所」と「見えにくい場所」があります。
【見えやすいものは?】
レントゲン検査で見ることが困難な、臓器の内部(肝臓・腎臓・甲状腺・乳腺など)、体液または臓器や組織の存在位置を知ることができます。
【見えたり見えなかったりするものは?】
膀胱・子宮・卵巣・前立腺・胃などがあり、大きさや内容物によって見え方が変わります。
【見えにくいものは?】
骨と気体が該当します。骨は超音波をほとんど反射してしまうため、その骨に囲まれた脳や肺の病気は診断が難しくなります。胃や腸の中にガスがたまっている場合も、その奥にある臓器は見えにくくなります。また、体の大きい動物・太っている動物は深い所まで超音波が届かないため、見えにくくなります。
準備と注意点
剃毛
プローブ(超音波検査で使用される探触子)の接触をよくするため、プローブを当てる部分の毛を剃ります。
ゼリーの塗布
皮膚をぬるま湯で塗らした後に、皮膚とプローブの両方に超音波検査用のゼリーを塗ります。ゼリーは無害ですが、検査終了後はよく拭き取るようにします。
保定
通常、横向きに寝かせた状態で検査を行います。動くと正しい位置にプローブを当てることが難しくなるため、スムーズに検査を行うためにも、なるべく動物がリラックスした状態で行うことが理想です。
嫌がって暴れたり怖がったりしないように、声をかけてあげることで緊張が和らぐこともあります。
まとめ
超音波検査は痛みを伴わず、動物に負担をかけないで体の内部の構造や機能を観察することのできる検査です。しかし、動物にとっては普段と違う環境に置かれたり、慣れない姿勢で押さえられたりするため、不安なことも多いはず。
飼い主さんが正しい知識を身に付けることで不安を感じる動物たちのサポートをし、もっと効果的に検査を受けられるようになれば、より病気の早期発見・早期治療につなげられるのではないでしょうか。