#日経 #人生1万年時代 #ナノテク と #意識移転
「日経ビジネス」様よりシェア、掲載。
ありがとうございます。感謝です。
鍵はナノテクと意識移転 「人生1万年時代」への道
記者
津久井悠太 他3名
2020年3月12日
有賀氏は水面上での分子のふるまいなどを分析する界面化学の研究から出発し、ナノマシン研究にたどり着いた。
その見解によると、ドレクスラー氏が描いた“何でも作る”分子アセンブラーには及ばずとも、一定の条件の下、特定の分子を作り上げるナノマシンは、近い将来、実現する可能性が高い。
技術が発展すれば、より複雑な物質を組み立てることもできるはずだという。
有賀氏が今、取り組んでいるのは、そうしたマシンを人の命令によって自在に操る技術の開発だ。
どんなに高度な機能を持った分子アセンブラーができたとしても、動きを制御できなければ、人の体内で細胞を治療するといった用途には使えない。
見込みある技術の候補の1つが、分子でできた車「ナノカー」だ。
原子数十個分、数ナノメートルほどしかない小さな分子だが、電子パルスで刺激を与えるとピクピクと動いて移動する機能を持つ。
有賀氏らは尺取り虫のように進む分子を開発し、2017年4月にはフランスで開催された国際レースにも出場。滑って移動する分子など、様々な移動方法を持ったナノカーと速さを競ったという。
体内の物体にパワードスーツを着せる
ナノマシンの医療応用の可能性を見据える研究者は、他にもいる。東京工業大学生命理工学院の丸山厚教授もその1人だ。
丸山氏は生物がもともと持つ身体の仕組みを、ナノマシン(特殊な機能を持つ分子)を使って強化する研究に取り組む。
「いわば、体内の小さな物体に、分子レベルのパワードスーツを着せるイメージ」と丸山氏は説明する。
既に「特定の条件によって細胞膜の形を変え、広げたり丸めたりする分子」を開発した。
この技術が発達すれば、例えば丸めた細胞膜に薬品を入れて血液中に注入し、体内の必要な場所で広げることで、ピンポイントでの投薬が可能になる。
まさにナノマシンによる人体補修の第一歩と言える。
「永遠の生命」につながりうる世界の科学者の研究は、ナノテクノロジーに限らない。
クローン技術と記憶移転技術を組み合わせることで超長寿命化を図ろうとする考え方もある。
簡単に言えば、クローン技術で自分の複製を作り、自分の記憶を移植するというものだ。
複製を作るだけならそれは“一卵性双生児”であり“自分”とはいえない。
だが、「自分のクローンが自分の記憶を持つ」となれば、それはもはや“ほぼ自分”。
例えば数十年ごとに定期的にクローンを作って記憶を移していけば、コピーによる劣化がない限り、1人の人間として生き続けることが可能になる。
映画「ルパン三世 ルパンvs複製人間」に登場した、クローン技術で1万年を生きたマッドサイエンティスト「マモー」の成功版、といったイメージだ。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます