息子よ、これはただの偶然なん蛇。
先日のことである。襖を開けたら、畳の上にうんこがあった。
自分がしたものでない限りはまずは嫁(トキロック)を疑うのが筋である。問いただす前に念の為うんこに近づき凝視してみる。嫁のにしては随分と情報量多めのうんこだなと率直に思い確認の為、嫁のもとに足を運ぼうとしたその時、横にあった椅子から障子にかけてまったり寛いでいる蛇がいることを視覚的に認識する。しかしながら思考が追いつかず、その椅子の前で立ち尽くし、生ライブ配信のチャット画面的な表現をすれば、ひたすら?????????????
を送り続けているような時間を費やしたのち、その部屋を離れ嫁に一連の自分の目でみたことを伝える(この時点ではまだ幻覚の可能性もなくはないと思っている)。
iPhoneカメラと嫁を携えて再びその部屋に足を踏み入れると、やはりうんこも定位置にあり、おそらくそのうんこの出処でもある蛇もさっきと寸分は変わったが椅子から障子にかけてやはりまったり寛いでおられた。
僕の"だろっ"と嫁の"えっ"の顔が向かい合ったまま時が止まり、何とか時を動かすべき対処方を探るも、このまま嫁を布団に押し倒す以外浮かばず、それはおそらく今じゃないことは嫁の"えっ”の顔が物語っており、そのまま数分、僕らの体感ではなく人類が定めた時間だけが過ぎ去った。
そして一通りの"唖然"を堪能したのち、二人の直感的共通認識として守り神が現れたもしくは先日亡くなった父が我々の様子を見に来てくれたのでは?というのがあり、それを踏まえた上でこの蛇様に対する我が家の方針を固めなければいけないということで、蛇に関して無知な僕らはSNSを駆使してこれが何蛇であるのか?と共に毒の有無を確認させてもらった結果(情報くれた皆様に感謝!)、思う存分我が家で寛いで頂いて構わないという結論に至った。
上記に書いた父が我々の様子を見に来たというメルヘンな考察には訳があった。先日、父が火葬されている際、僕ら家族は3密を避けるべく外のちょっとしたベンチでおにぎりを食べながら父の焼き上がりを待っていたのだが、
おにぎりを食べるぐらいでは費やしきれない時間の中、僕は一人ふらふらと散歩していた。すると後ろで、ぼたっ という音がして振り返るとこの記事の流れでいうと勿論のことながら蛇が居たのである。
ああ父は蛇になったのか、もしくは蛇の姿を借りて様子を見に来たのか、なんてロマンチックなことを思い、家族にその旨を伝え、「そうかもねえ」なんて談笑をし、諸々の葬いを終え自宅に帰ってきた矢先に我が家に蛇が再度現れたものだから、この偶然をエビデンスの取得に拘らず何らかの繋がりを想像し楽しんでも罪ではなかろうと、母に「父さん、家にも来たよ」と連絡し動画等送ったら、母も妹家族も「父さん、あなた達が一番心配で見に行ったのね」とそれなりにロマンチックな時間を過ごせたようで何よりであった。
その後数日、その蛇は姿を見せなかったのでお帰りになられたのかと、少し寂しい気持ちもありながらそれが父さんであったならば、49日まではそこそここっちの世界で好き放題やれる中での一コマであったのかななんてことを勝手に思っていた矢先に再び忽然と現れた。
生前、父は地元の言葉で言うならば"いちびり"なところがあったもんで、僕らが少しはしゃいでることを察してか、部屋中を使って脱皮をするというライブでいうならアンコールで最もお客さんが聞きたがってる曲をやるというようなノリで脱皮を披露したもんで、僕らはものの見事に歓喜乱舞したのであった。
脱皮に感激しているトキロックの記事はこちら。
翌日、ただのアオダイショウであれ、我が家の守り神であれ、父が一時的に姿をお借りした蛇であれ、我々は十二分に触れ合いを堪能させてもらったことから、そろそろ我が家から外の世界にお帰り頂くのがいいのではと、いつでも窓の外にいざなえる準備をしていたが、結局その日は我々の前には姿を見せることはなかった。
そしてその翌朝、尿意の為、布団から眠い目を擦りながら襖を開けると我が家で最もカラフルな場所に父(蛇)はおり、「ワシはようわからんけど、この感じ、インスタ映えとかするんちゃうの?写真撮っとき〜」とこっちを見て舌をペロペロするから、「僕、インスタやってないけど、トキさんやってるから撮っとくわ」という脳内会話と共にシャッターを押した後、父さんは鴨居に入っていって数時間後完全に姿を消した。
それが僕個人の見解としてのこの世での父との最後の会話となった。
今回のことをSNS等でも書いたことで友人や知識ある方々から、アオダイショウが家に居るとお金が舞い込むというような言い伝えを教えてもらった。コロナ下で収入が激減した僕らはその言い伝えに淡い期待を寄せていたわけではないが、そうなればいいねえぐらいに思っていたら、一昨日、トキロックの勤務先の休業中の補償が10割補償になりましたというメールが届き、その会社の社長さんと共にほんのりとこのアオダイショウにも感謝した次第である。
GD