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妄想列島

少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口1-

2020.08.15 12:19

1 白ウサギを追って

小学校の春休み、彩里水は両親と遊園地に遊びに来ていた。何度か来たことがある、家から車で1時間ちょっとの場所にある遊園地。


大人気の遊園地というわけではなかったが、家からさほど離れたところにあるわけではないのにちょっとした冒険気分が味わえるこの場所は、彩里水少年にとってはお気に入りベストスポットと言っていいほどの場所だ。


母親に連れられて母親の友人の家に遊びに行くよりずっといい。


両親を連れ回し、彩里水の身長で乗れる限りの絶叫系のジェットコースターに散々乗った。来る度に少しずつ乗りたいと思っていた乗り物に乗れるようになっていく。もうほとんどの乗り物に乗れるようになったが、1番乗りたいジェットコースターにはまだ乗れない。


次に来る頃にはあの1番怖くて1番楽しそうなジェットコースターに乗れるだろうか?と、彩里水は来る度に憧れていた。


今日もそれには乗れなかったが、それでも両親をぐったりとさせるぐらいには満喫した。


有名遊園地のように可愛らしいマスコットキャラクターは大していないが、それでも園内でくまのラッキーに会えたら、名前の通りちょっとラッキーな気持ちになる。そのほかにもラッキーのガールフレンドのクッキーや親友の犬のクンクンなどのキャラがいる。


両親がぐったりして園内のカフェで休憩をしているとき、カフェの外に彩里水は白ウサギのキャラが懐中時計のようなものを見ているところを見つけた。



――あれ?白いウサギなんていたっけ?新キャラかな?



初めて見るキャラをしっかり見てみたいと彩里水は両親に声もかけずカフェを出て白ウサギの後を追いかけた。

彩里水がカフェを出て、先程ウサギがいたはずの場所へ行くと、そこにウサギはいない。



――あれ?いなくなっちゃった。



見回すと、カフェの後方にある雑木林の中に白ウサギらしき影が消えていくのが見えた。



――あれ?あっちに行くってことはマスコットキャラじゃないのかな?



そう思いつつも、彩里水は白ウサギが気になって雑木林の中に入る。

1歩林の中に足を踏み入れると、息をするのも気が引けるような静けさの広がる林。本当にここはあの遊園地なのかと思うほど、人気が無く静まりかえっている。

白ウサギが消えたと思った方へドンドンと進んでいく。


ガサッ!


ハッと彩里水がそちらを向くと、先程のウサギの着ぐるみのマスコットらしき影が動く。


「あ、待って!」


彩里水はあまりの静けさに不思議なところに迷い込んでしまい、だんだんと恐ろしくなってくる。

もう一つ不思議なのは、こんなにうっそうとした林の中なのに虫や取りなどの気配がない。それに気付いた彩里水の恐怖心はさらに膨れ上がる。他に生物の気配がないこの場所では、あのウサギを追う以外にここから出る術が思いつかない彩里水は必至で白ウサギを追いかける。

視界から消えてしまったウサギを探し辺りを見回しているとまたガサッと木々を揺らすような音がする。

そちらを向くとまた白ウサギらしき影が鬱蒼と茂る木々の中に消えていくのが一瞬だけ視界に入る。そちらの方へ向かって彩里水は走る。


「ま、待って!置いていかないで!」


白ウサギが消えた方へ走り低木の茂みへ足を踏み入れると、そこには人1人通れる程度の穴があり、小さな少年彩里水はすっぽりとその穴の中へ落ちてしまった。


「うわあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


つづく