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間取りから考えるコロナウイルス対策と手洗いスペース

2020.06.10 01:10

古川都市建築計画一級建築士事務所

古川達也


全国にコロナウイルス感染拡大の不安が広がり、外出自粛の生活が続いています。家に居る時間が長くなり、日々暮らしている住まいの使い勝手や居心地などが気になっている方も、増えてきているのではないかと感じます。さて、今まさに気になること。ずばり、コロナウイルス対策に相応しい住まいがあったとして、どんな間取りなのだろうか?未知なるウイルスに対処出来る方法があるとしたら、少しでも住まいに取り入れたいところです。

例えば、屋外から帰宅し誰もが最初に住まいで行っておきたい所作は「手を洗う」こと。手洗い器の場所は、間取りを考えるなかで、どこにあったら一番手を洗い易いかを少し考えてみました。100点満点といかないまでも、おそらく玄関に出来るだけ近いところにあって、素早く手が洗える状況であれば、汚れやウイルスを屋内の広範囲に持ち込まないように対応し易いのではないかと思うのです。玄関戸を開けて屋内に入るとします。靴を脱ぐ前に手を洗うなら、玄関戸の目前に手洗い器がある方がいいはず。しかし、手を洗ってから靴を脱ぐのでは、屋外環境で様々接触してきた靴に、どうしても触れることになってしまいます。やはり少なくとも靴を脱いでから手を洗うようにしたい。さて、その次はどうしましょう。

リビングの一角、階段下を有効活用した手洗い場所。


以前に設計した愛猫と住まうご家族のための木造2階建て個人住宅は、1階にリビングダイニング。2階に主寝室と子供室。玄関から廊下が無く直ぐにリビングへ入室する間取りなのですが、屋外と直結する玄関の断熱性能と、愛猫の飛び出し防止のために一枚の屋内引戸で仕切られています。リビング側と玄関で互いの気配がわかるよう光を通す軽いポリカーボネイト板を主材とした引戸。この住まいの玄関は風除室のような形式と言えます。引戸を開けるとそこはリビング、そして2階へ行ける階段が直ぐ横にあるのですが、階段下のデッドスペースを有効活用し手洗い器を設けています。つまり、この住まいでは間取り上玄関に最も近い位置、なおかつ2階へ行く起点に手洗い器がある。家族皆が必ず通る主動線上に手洗い器があるだけでなく、リビングやキッチンどこからでも見える位置に手洗い器がある間取りになっています。完ぺきといかないまでも玄関では引戸を開ける前に、上着やバッグなど対処出来る範囲で除菌し汚れをなるべく屋内に持ち込まない考え。リビングでは帰宅した子供たちに「手を洗った?」おやつを食べる前に「手を洗った?」2階で愛猫と触れ合った家族が1階に下りて食卓につく前に「手を洗った?」と互いに声を掛けやすい場所に手洗い器がある。そして手洗い器は、居室からよく見えているので清潔を保つよう小まめに掃除、比較的いつも綺麗です。


キッチンからもリビングからも見える階段下の手洗い場所。


実は、この方針をイメージし望まれたのは施主奥様でした。「玄関近くで階段も近く、家族みな見えるところに手洗い器をおく」という間取りのご要望。コロナウイルス問題が身近となる、ずっと以前の計画当初から目指した方針の一つでしたが、結果的にコロナウイルス対策としての間取りと手洗いを考える上で、とても参考になるのではないかと思われたのです。間取りから考えるコロナウイルス対策。さらにみつめて参りたいと思います。

今回の実例は、小さなお子様とご夫妻が愛猫と暮らす横浜市内の住まいです。「縁側サンルームの家」と名付けたこの家では、屋内と庭との間に、縁側のようでありサンルームのようでもあるスペースを配置。窓辺で家族と来客を迎える愛猫の居場所、家庭菜園の収穫一時置き、ロングカウンターのある家族共有のスタディコーナーなど多目的に利活用出来ます。全体に柔らかい自然光が取り込まれ、心地良い広がりを感じる住空間が特徴です。詳しくは、ホームページ https://furukawa-arch.com/ 古川都市建築計画一級建築士事務所まで気軽にお問合せ下さい。古川達也