小針の家 Ⅱ
竣工:2020年7月
既存の落ち着いた住宅街での計画
クライアントに初めてお会いした時から、「控えめでまじめで上品な方」という印象を持っていました
土地探しや家具店巡りを経て、具体的な設計が始まったのが昨年の7月
この頃にはすでにその印象は確かなものとなっていました
人柄と場所柄を大切に扱い、設計の方向性として考えたことは、人目を引くような面白さとか新奇さは必要なく、落ち着きとか品、自然さのような、雰囲気が醸し出されることが大切なのではないかということ。
言葉となって出てくる顕在的な要望を知るだけでは足りなくて、言葉の奥の潜在的な思いに触れられるかどうかが勝負の鍵となるように思います
つまり設計とは、クライアントの無意識に迫ろうとする試みでもあります
内部空間は場所ごとに雰囲気を調整しています
・居間へのアプローチとなる「玄関」は、暗くすることにより居間より少し“緊張感”を
・パブリックな「居間」は、多くの人に対応させるためあまり色は出さず“さっぱり”と
・「食事室」は家族のスペースになるので、居間よりもざっくりと柔らかく、“ぬくもり”を
・「洗面」はパブリックの延長なので、居間の雰囲気に“清潔感”を追加
「形」ではなく「空気」をつくることを心掛けています
2Fの主寝室
コンパクトな部屋なので、天井をクローゼットまで連続させて抜け感をつくっています
子供室は将来仕切ったとき、子供たちが部屋を選べるように同じ作りとはせず、
わざと違うようにつくっています
晴れの日用と雨の日用の2つのテラスを持つ家です
「晴れテラス」はウッドデッキ
L型に配した居間と食事室から出る事ができます
大きな屋根が日陰を作ってくれるので夏でも楽しめます
「雨テラス」は土間
採光のために屋根はポリカーボネート、目隠しには杉材で板塀を設けました
ブランコやハンモックを吊す予定になっています
元々この敷地にあったモクレンやモミジの他にシラカシ、アオダモ、ハコネウツギなどを植え、どちらのテラスからも緑を楽しむ事ができます
敷地面積:225.37㎡(68.03坪)
延床面積:111.80㎡(33.75坪)
構造規模:木造2階建
用途地域:第一種低層住居専用地域
設計期間:2019年8月~2020年2月
工事期間:2020年2月~2020年7月