啓蒙の光1-グロティウス戦争と平和の法
2020.08.19 11:30
1625年「国際法の父」と呼ばれるグロティウスの「戦争と平和の法」が発表された。彼は、オランダのデルフトに生まれ、幼い頃から神童と呼ばれる才能を発揮した。16歳で弁護士となり、30歳でロッテルダム市長となる。しかしその後政争に巻き込まれて逮捕され脱獄。亡命先のパリでこの書を書いた。
当時は宗教戦争に加え、新教国家同士の問題も発生していた。海洋問題をめぐりグロティウスも「自由海論」を書いている。マキャベリの「君主論」は、自立的国家を確立する時代の書であり、その目的のためなら倫理にかまってられない。しかしこの時代は国家同士が大規模な戦争をするのである。
グロティウスは、正当な理由のある国家間戦争は否定しない。しかしその戦争行為の「緩和」を唱えるのである。具体的には非戦闘員の殺害を否定し、宗教、文化的な物も破壊してはならず、敵の力を弱める以外の略奪を禁止しようとする。ここには戦争の中でも人間理性による「自然法」は生きているという考え方がある。
そして戦争の終結に必要なのが「平和条約」となる。中世の「神の平和」ではキリスト教徒同士争ってはならなかった。しかし宗教が分裂した時代には、人間理性を行使する条約が頼りというのだが。
下左はグロティウス右は戦争と平和の法