【留学5】「かっこつけない」が「かっこいい」
ちょうど、今のこの時期の夜のように、
心地よい風が吹いてて、
暑すぎる事もなければ、
寒すぎる訳でもなく
夜景もきれいに見えるホテルの屋上のオープンバーで
おいしいビールやカクテルで頬を赤く染め
最高に気持ちいい心地よい風を肌で感じ
生バンドの演奏にうっとりしながら、
そこにいる人達は他人だけれど、他人じゃないような。
初めましてだけれど、初めてじゃないような。
楽しい会話が弾む。
年齢も国籍もバラバラ。
下は大学生、上は、好奇心旺盛なマダム。
その夜、私は交流会に参加していた。
持ち前の社交性が発揮されて、現地で仕事をしている方と仲良くなったのだ。
その縁で、他の学校の生徒と情報交換へ出かけた。
この日、何人ものヒトと話したけれど、
その日、私を驚かせた一人が、まだ大学生の背の高い男の子。
「自分、まだ何がやりたいかはっきりしてないんすよ」
なんていう青年。
いいよね。
この青い感じ。
「姉さんは、
なんでセブに来たんですか?
何しにきたんですか?」
ドキッとしたよね。
あの質問に。
ドキッとしたのは、もちろん赤い実がはじけた音ではなくて、
私の中の葛藤で
まるで試されているかのような
真実のドアをノックするような音だったのかもしれない。
その時 私のマインド
お酒を飲んでレイジーになっていたのにも関わらず
私の頭の中はフル回転していた。
ここは、年上だからと背伸びしてイッチョかっこいい事でも言ってやるべきか
いや、正直な所を話してみるべきか
あ〜でも正直な事を言ってかっこわるいと思われたらどうしよう。。。
という葛藤。
最近の年下は、とってもしっかりしていて、彼らと同じような状況にいるのに、
私は、確実に彼らより年を食っている。
焦りにも似た感情を持っていたからだ。
年齢を重ねる事に何の抵抗もなくむしろ喜んでいる私なのに、
彼らといると私の気持ちは確実に、焦りが強いのだ。
時々やってくる、この焦りと言う波。
また突然やってきたのだ。
先人は常に私より先を確実に生きていて、
聞いたら何でも答えてくれるだろうと言う期待を私が持っているから、
その青年の期待を裏切りたくない。
いや、
残念と思われたくない!!!!!
でも、、、
本当の事を言いたい。。。。。。!
そんな感情がひしめき合ってて
私のマインドは戦っていた。
でも、
何となく、、、、
いや、
何となくではない
セブの風が、
セブのサンミゲルビールが私を自由にさせた。
私は、ドアを開ける覚悟をしたのだ。
「私ね、
自分の意見を言いたくて
ここに来たんだよね。」
「なんすか?どーゆーことっすか?」
「私ね、
英語に憧れていたのは自分の意見を言えるからだったの。
ほら、英語っていつも聞いてくるでしょう?
YES なの? NO なの?って
そして必ず、たとえどっちの答えでも WHY?なんで? って
それに答えていることが、自分の意見を持って伝えていると言う事が、
私の目にはかっこ良く映っていたんだよね。
社会人が長かったせいか世間の常識に捕われてて、
知らないうちに、空気を読む事がいいとか思ってしまっていて
いつしか自分の意見を持つ事を辞めてしまったのよね。
そして、息苦しかったんだって。
そんな理由なんだ。
だから、外資系の会社で働きたいとかソーユー理由じゃないんだよね。
英語習得が目的じゃない。
語学留学は、ただの手段だから。
だからね、本当は何語でも良かったんだ。
もちろん日本語でも。
そんな事を留学前日に気付いたんだよ。
ふふふ、なんかおかしいよね。笑っちゃうよね」
と私は答えた。
ゆっくりとでも確実にガラスの破片でも拾うかのような慎重さで
彼の目を恐る恐る時々見ながら、勇気を持って伝えみた。
そのときの私の心は、
言えた!という達成感と同時の安堵感
運動後のビールを飲んだときのような爽快感があった。
そして、
彼の顔が、
彼の表情が
一変したの。
私は見逃さなかった。
暗い世界から一気に光溢れるまぶしい場所にテレポーテーションしてしまったかのような
一気に酔いが醒めたような、
ハッとした表情だった。
そして彼は一言、
「姉さん、
かっこいいです!!!」
こんな事言われて、恥ずかしくないわけがない。
でも、本当の事を言って、
いや、言えて良かった。
「かっこいい」
は
「かっこつけない」
って事なんだね。
彼のお陰で、それに気付けた。
そして、私は、彼にメッセージをおくる。
悩む事は悪い事なんかじゃない。
一生懸命だと言う証拠なだけ。
そして、あなたには若さがある。
確実に私より若い。
そして、誰しも、今日という日が一番若い。
なんでもやったらいいじゃない。
私は、そう生きようとしているよ。と