【お手入れ講座】ゴールドアクセサリーのメンテナンス【予防編】
気品ある輝きを放つ、黄金のアクセサリー。
ゴールドの宝飾品はどのようにお手入れをすれば良いのでしょうか?
こんにちは。
オーダーメイドの専門店「itoaware -いとあはれ- 京都店」です。
華やかで格の高いゴールドアクセサリーには普遍的なの美しさがあります。
しかし、そんな金のジュエリーも無条件で永遠に輝き続けるわけではなく、こまめなお手入れを施してこその美しさ。
この記事ではたびたびお客様からご質問をいただく「金のアクセサリーのメンテナンス方法」についてまとめてみました。
まずは傷や変色の【予防編】をお送りしますね。
ゴールドという素材の性質
アクセサリーを美しい状態にキープし長く愛用するには、まずは「金」という素材の特徴について知っておくといいですよ。
以前に書いたこの記事を参考にしてみてください⇓
◇柔らかく非常によく伸びる
金は、どんなに強くトンカチで叩いても、バキッと砕けたり折れたりはしません。
その代わりに衝撃を吸収して、グニャリと変形します。
硬いけど割れやすいガラスの正反対の性質と思ってもらえればイメージしやすいでしょう。
これは、理系な言葉を使うと「非常に優れた延性と展性を持つ」ということ。
厚みが0.0001ミリにも満たない極薄の金箔を作れたり、わずか1グラムの金を3000メートルもの長い糸にするだってできます。
スゴすぎる。
この特徴は、変形しやすく、キズに弱いことを意味します。
純金のアクセサリーに思いっきり力を込めれば手でもグニャっと簡単に曲がりますし、ピカピカに磨き上げても目に見えない小さな傷が無数について、輝きが曇ってしまうおそれがあるわけですね。
◇変色に極めて強い
金は化学的な安定性が極めて高い物質です。
すみません、ちょっと難しい言葉を使ってしまいました。
ようするに錆びて色が変わったり、ボロボロに朽ちる心配がほとんど無いということですね。
どんなに長く雨ざらしにしても錆びることは決してありませんし、強力な洗剤や酸につけても溶けるどころか色すら変わりません。
日常生活の中で変色することはまずないでしょう。
その価値を不変のものとし、金が古くから愛されてきた理由の一つですね。
◇純度やカラーよって特徴が変わる
アクセサリーとして加工されたゴールドならではの性質です。
金は柔らか過ぎるため、ゴールドアクセサリーは銀や銅などと混ぜ合わせて硬さを調整するのが一般的です。
そのため一口に「金のアクセサリー」と言っても混ぜられている金属やその割合によって、その性質が微妙に変わってきます。
これはとても重要なことなので、ぜひ覚えておきましょう。
主な割合は以下の通り…
K24 = 24/24がゴールド ⇛ 純金のアクセサリー
K18 = 18/24がゴールド ⇛ 約75%が金で作られたアクセサリー
K10 = 10/24がゴールド ⇛ 約42%が金で作られたアクセサリー
…K24なら金の特徴そのままに柔らかく変色しにくいアクセサリーになりますし、逆に純度の低いK10なら硬くてキズに強いが変色しやすい傾向があります。
◇電気や熱をよく通し、熱するとかんたんに溶ける
これはアクセサリーをお求めになる一般のお客様にとっては、あまり関係が無いかもしれません。
金は電気をよく通すことからスマートフォンなどの電子機器にもわずかながら使われています。
また、私たちアクセサリー職人にとっては、熱で加工する際に温度を調整するのため必須知識でもあります。
傷・変形を予防しよう
純度の高いゴールドアクセサリーは非常に柔らかいため、かんたんに形が崩れたり傷がついたりします。
傷がつきやすということは、曇りやすいということ。
黄金の輝きは表面がツルツルだからこそ放たれるのであって、目に見えない無数のキズがつけばその光沢は失われます。
逆の例は、K10のピンクゴールドやレッドゴールド。
金の割合が約42%で、残りは主に硬い銅が使われていますから、非常にタフなアクセサリーに仕上がります。
それでもアクセサリーそのものより硬い金属や石に触れれば細かなキズがつくので、扱いにはそれなりの注意が必要ですよ。
◆他のアクセサリーと重ね付けしない
主にブレスレットやネックレスでの注意点ですね。
アクセサリーが擦れ合ったり触れ合ったりすることで、ほんの少しだけ傷が刻まれていきます。
アクセサリーだけではなく、腕時計や上着のジッパーやボタンなどと擦れないようにもしましょう。
ひとつひとつは小さな動き、小さな傷でも、何千回と繰り返されればいずれは輝きを損なうことになってしまいます。
◆硬いもの、重いものを持たない
これは主にリングについてですね。
例えば登山などのアウトドアで硬い岩をつかめばすぐにキズがつきますし、工具を使うような仕事をするときも指輪を外すことをオススメします。
K24のゴールドリングなら、特に慎重になるべきです。
持ったモノが柔らかいダンボールであったとしても、それが重ければあっさり変形してしまうこともありますよ。
◆料理や洗い物などの家事をするときは、指輪を抜く
こちらも指輪の注意点。
あんなに割れやすい陶器の食器やガラスも、実は硬さではゴールドよりも上です。
お鍋やフライパンも硬いですよね。
そのためいつの間にか目に見えない細かなキズがついてしまいます。
気をつけましょう。
変色させないためには?
先程申し上げた通り、ゴールドは化学反応に極めて強く、ほとんど変色しない素材です。
化学の実験でもしない限りは、日常生活で変色に気をつける必要はまったく無いと言って差し支えないでしょう。
しかし、それは純金のアクセサリーの話であって、純度が低ければそうとも限らないという落とし穴が…
割金(硬さや色味を調整するための混ぜる金属)の性質に合わせて、注意点が異なってきます。
しかし難しくは考えず、だいたい以下の点に注意すればOKですよ〜
◆つけっぱなしで温泉に入らない
天然の温泉にはさまざまな成分が含まれています。
その中でも特に注意すべきなのが「イオウ」。
カラーゴールドの中に含まれている「銀」や「銅」を変色させてしまいます。
温泉だけでなく、入浴剤にもイオウが含まれていることがあるので、これも避けたほうが無難でしょう。
◆ブリーチや塩素系洗剤には触れさせない
ゴールドアクセサリーに混ぜられている「銀」や「銅」は塩素とも反応する性質があります。
なのでゴールドリングをつけたまま、まな板の漂白をしたり髪染めをしたりすれば色が変わってしまうでしょう。
逆に純金のアクセサリーは色が変わりませんが、細かな傷がつくかもしれませんので、やはり身に付けないでおくべきです。
◆スキンケアやメイクの時は外す
化粧品やスキンケア用品の中には、油分やタンパク質が入っています。
アクセサリーについたそれらの成分を落とさずに放置すれば、だんだんと色が変わってゴールドの色味を損なってしまうでしょう。
これは金属そのものが変色するのではなく、表面にくっついた油分が黒ずむからです。
少し洗えばすぐ元通りになるので、比較的楽にクリーニングできる汚れですね。
◆使わないときは密閉して片付ける
金そのものは変色しません。
しかし純度が低いカラーゴールドの場合は、中の銅が空気と触れることで少しずつ変色していきます。
特にピンクゴールドにたくさん含まれている「銅」には気を使わないと、5年10年と経つうちに黒っぽいくすんだ色味になるでしょう。
片付けるときは密閉されたジュエリーボックスだと尚良し。
100円均一のお店に売っているようなチャックのついた小袋に包めばさらにベストですよ。
今回は金という素材そのものの特徴や、ゴールドアクセサリーならではの性質についてご案内してみました。
これらを知っておいた上で、正しいい予防方を取り続ければその輝きはいつまでも続くでしょう。
とは言え私たちは人間ですから、やっぱりうっかりしたり面倒臭くなったりして、変色させちゃうこともありますよね。
そこで、次の更新では【ゴールドアクセサリーの傷や変色の対処法】について解説したいと思います。
itoaware -いとあはれ- 京都店