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itoaware -いとあはれ- 京都店

【お手入れ講座】ゴールドアクセサリーのメンテナンス【リカバリー編】

2020.12.16 11:00

せっかくの指輪やネックレスの色が変わってしまった!?

そんな時はどうすればいいのでしょうか…

こんにちは。

ハンドメイドリングの「itoware -いとあはれ- 京都店」です。


もし大切なアクセサリーが変色したり変形したりしても、諦めるのはまだ早い!

正しくリカバリーすれば、元の輝きを取り戻しますよ。

この前の更新に引き続き、ゴールドアクセサリーのメンテナンス方法について解説していきたいと思います。

今回は「汚れや傷がついてしまったアクセサリーのお手入れ方法」です。


予防編はこちらからどうぞ⇓



金とゴールドアクセサリーの性質(おさらい)


具体的なメンテナンス方法の前に、まずはゴールドアクセサリーの特徴をサラッとおさらいしておきましょう。

前回の記事をご覧になった方は読み飛ばしてもらっても結構ですよ。



金は柔らかく、傷や変形に弱い

   ⇓

・純金に近いアクセサリーほど、丁寧に扱いましょう

・カラーゴールドの種類や純度によっては、傷に強くなる



金そのものは変色に極めて強い

   ⇓

・純度の高いゴールドほど、変色を気にする必要は低くなる

・金の純度の低いアクセサリーは、変色に気をつけなければならない




金のアクセサリーが駄目になるい3つの原因



①傷・変形

目に見えないほど小さな傷が無数につくことで、輝かきが弱まり色が薄なったように感じられることがあります。

少しの傷なら軽く磨いてあげるだけで簡単にピカピカの光沢を取り戻しますよ。

しかし抉られたような大きな傷や、繊細なデザインが曲がったり潰れたりすると一般人のお客様には手におえません。

専門家の手を借りましょう。



②化学反応

学校で理科の時間にならったアレですね。

ゴールドアクセサリーの硬さや色味を調整するために混ぜられている「銀」や「銅」がそれぞれ「硫化銀」や「酸化銅」に変わってしまうという意味。

金属そのものが別の物質に変わってしまう現象ですから、元に戻すのは難しく、表面を削り落とすことで対応します。

アクセサリーの色が変わってしまう主な原因でもあります。



③表面に汚れが付く

汗や皮脂、それにスキンケア用品や化粧品などがアクセサリーの表面に付着し、そのまま酸化が進み雑菌がわいて黒ずむというパターンです。

つまりこれは「金属の上に汚れが乗っかっている」状態。

シンプルに汚れを落とすだけでいいので、対処法は比較的簡単です。




リカバリー方法


◆専用クロスで磨く

専用クロスは、アクセサリーを磨くための布のこと。

中に研磨剤が練り込まれているので、ただ軽く磨くだけでも貴金属本来の輝きを取り戻すことができます。

アクセサリー表面を削り磨くことから傷、変色、皮脂など全ての原因に対応できます。

「専用」というと難しいイメージを持たれるかもしれませんが、実際にやってみると拍子抜けするくらいに簡単ですよ。

それに雑貨店やホームセンター、それに100円ショップでも気軽に買えますしね。


ただし注意点が一つ。

磨くということは、わずかに削るということでもあります。

メッキ加工や繊細な模様が施されたアクセサリーの場合には使わないほうが無難でしょう。

ホワイトゴールドのロジウムメッキが剥がれてしまったり、せっかくのデザインが薄くなったり、質感を損なう恐れがあります。



◆重曹を使う

重曹は家事の強い味方。

お台所やコンロ周りなどの掃除用に、ご自宅に常備している方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実はアクセサリーのクリーニングでも大活躍します。


水を少し加えてペースト状にし、柔らかい布や綿棒につけてアクセサリーをなでるように磨きましょう。

水に溶けた重曹は弱アルカリ性になり酸化した金属を分解してくることに加え、重曹の粒がほどよい摩擦を生みアクセサリーを研磨してくれます。

洗い終わったあとはしっかし水分を拭き取りましょうね。


また以前紹介したアルミと反応させ泡で汚れを落とす「重曹ブクブク作戦」も使えますよ。

さっすが重曹様。

家庭のオールラウンダーです。



◆専用のクリーニング剤を使う

ジュエリー専用のクリーニング剤に浸して洗う方法です。

専用剤の化学反応を使った方法なので、傷や変形には対応できませんが、ゴールドチェーンの内側など磨きようのない部分もキレイに仕上げることができます。

しかし、正直なところ、一般のお客様にはあまりオススメできません。

化学やアクセサリー特有の専門知識や経験が必要だからです。



◆中性洗剤で洗う

中性洗剤とは、ようするにキッチンにある一番普通の洗剤のことです。

あとはハンドソープなども。

これはジュエリー表面の傷や化学反応に由来する変色にはほとんど無力。

しかし、金属に乗っかっているだけの皮脂や油などの汚れにはバツグンの効力を発揮してくれます。

研磨剤と違って貴金属そのものを削ることもありませんし、とりあえず試すには良い方法ですよ。



◆超音波洗浄機

超音波で水を振動させ、表面の目に見えない小さな汚れまで綺麗に洗うマシーンです。

つまり、メガネ屋さんでよく見かけるアレのこと。

メガネだけではなく、アクセサリーの洗浄にも使えます。

ジュエリー専門店には貴金属や宝石にも対応したジュエリー専用の超音波洗浄機を備えている場合が多くあります。

私たち職人にとっては無くてはならないモノですが、普通のご家庭でこの機械をお持ちの方はほとんどいないのではないでしょうか?



◆ショップに持ち込む

もっとも間違いの無い方法ですね!

ジュエリーの専門家が美しい輝きを取り戻してくれますよ。

ただし、ショップによっては十分な設備が無い場合や、職人の知識や技術が足りなくてメンテナンスを断られる場合も。

ショップと工房が別になっているお店も珍しくはありませんので、難しいリカバリーが必要な場合はいったん工房に送られ、手元に戻ってくるまで日数がかかることもあります。

日頃からきちんと信頼できるアクセサリーショップを抑えておくべきですね。




念の為の注意点 宝石付きジュエリーは専門店へ


一口にゴールドアクセサリーと言っても、中には宝石をあしらったものをありますよね。

その場合、我流でのケアは控えるのが無難です。


例えば、酸に弱いパールを酢につけたら…

例えば、脆いエメラルドを超音波洗浄機にかけようものなら…


想像しただけでも恐ろしいですよこれは…!

宝石の扱いを誤れば取り返しのつかないことになります。

専門のジュエリーショップに持ち込むと良いでしょう。




以上、2回にわたってゴールドアクセサリーのお手入れ方法を解説させていただきました。

いかがだったでしょうか?

ご自宅で簡単にできるものから、ちょっと負担の大きいものまで様々でしたね。

少し長くなってしまいましたが、これでも色々と省いてわかりやすく書くよう努めました。


これらの予防方とリカバリー方は、金以外のアクセサリーにも共通する部分があるので、どうぞ参考になさってください。


ここまでお読みいただきあありがとうございました。

ゴールドは産出量の限られた貴重な素材です。

大切に手入れして、長く愛用したいものですね。



itoware -いとあはれ- 京都店