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妄想列島

少年彩里水の不思議冒険譚 -不思議の国の入り口8-

2020.08.22 12:00

8 白兎との出会い2



「・・・ねえ、白兎はここからの帰り方知ってる?」

「え?いや、オレもわかんない。オレも遊園地にいたんだ。彩里水が言ってる遊園地って、オールワン遊園地のこと?」

彩里水は白兎が同じ遊園地の名前を口にして驚く。

「え!?白兎もオールワン遊園地にいたの?・・・っじゃ、じゃあ、あの雑木林から穴に落ちたの?」

「雑木林?いや、オレはあの遊園地に家族できてたんだけど、弟が迷子になっちゃって。そんで探しに出てたんだ。で、キッズゾーンに勝手に行っちゃったんじゃないかと思ってそこに行ったんだ。」

「ああ、キッズゾーンってあのトランプの?」

彩里水はオールワン遊園地の端の方にキッズゾーンがあることを思い出す。そこはトランプのハートやスペードのマークで型どられた小さい子用のアスレチックや乗り物があるゾーンだ。

――そう言えば、白ウサギを見つけたあのカフェもキッズゾーンのそばにあったな。

「そう、そこで弟を探してたはずなんだけど、いつの間にかさっきの道を歩いてて、そんでおまえが追いかけてきたから焦ってとりあえず逃げてたんだよ。」

「ふーん・・・。」

――なんだかわからないことだらけだけど、とにかく白兎もオールワン遊園地から来たってことは、それが何かこのよくわからない世界と関係がありそうなんだけど。・・・だけどオレは白ウサギを追いかけてきたから白ウサギに帰り道を教えて欲しいのに、白ウサギが白兎なら、オレはどうやって帰ればいいんだろ?

なんだか混乱して来るが、先程までこの変な世界にたった1人で不安がいっぱいだったが、今は白兎がいる。会ったばかりだが同じ年ぐらいの男子が同じ様にオールワン遊園地から来たということで彩里水は先程のような不安はあまり感じていなかった。

「んで、彩里水は今何年なの?オレは4年。」

「まじ?オレも!」

彩里水は白兎が同じ年だとわかり満面の笑顔で返事をする。

「マジか!良かった。じゃあさ、彩里水。とりあえず帰る方法を一緒に探さない?」

「おう!オレも今そう思ってたとこ!」

彩里水は白兎という仲間が現れて俄然この不思議な世界が楽しいところに感じられワクワクし始める。1人の時は心細くてさっさと帰りたくなっていたが、白兎と一緒にならせっかくだし冒険したくなってくる。

「でも、そうは言っても何処をどう動いたらいいのか全然わかんないもんな。右も左もわかんないとはまさにこのことじゃない?」

「あ!」

彩里水は落ちていた時に掴んだ地図のことを思い出す。

「なんだよ、急にでっかい声出すなよ。」

「ごめんごめん。そうそう、オレはここに穴から落ちたって言ったじゃん?その穴がまたすごい変な場所だったんだけど、そこで地図を見つけて持ってきたんだ。」

そう言いながら彩里水はポケットの奥にしまった地図を取り出し白兎に見せる。

「ふーん。この場所の地図なの?」

「わかんない。」

「いや、わかんないんかい。じゃあこれ見てどうすんだよ。」

「や、わかんないけど何かヒントあるかもだろ。」

「うーん、どうにしてもこれはかなり大きい範囲の地図なんじゃない?今ここでどっちに行ったらいいのかとかには関係なさそうだよ。」

彩里水は先程一生懸命ゲットしなくすまいとがんばった地図が役に立つかもと思ったが、一瞬にしてそれが打ち消され意気消沈しうなだれる。

「だよね。」

「あ、いや、でもまあなんかの役に立ちそうな気もするしそれはそれで取っておこうよ。」

「だな。まあ、とりあえず気を取り直してこの森を進んでみようぜ!」

「森の中を進むの?」

「それ以外なくない?ここにずっといてもしょうがないし。」

「んー、まあ。」

「それにさ!」

彩里水はニッと笑って白兎を見る。

「さっきまでけっこう不安だったんだけど、おまえと一緒だと思うとオレガゼン元気になってきたんだよ!なんかこの変な世界を楽しむ余裕が出てきたな!」

お気楽に言う彩里水に白兎は思わず吹き出す。

「プッ。おまえ、オレと初めて会ったのになんでそんな急に信頼してんだよ。意味わかんないなー。」

「だってさー、おまえオレは穴の中をずーっと落ち続けたりしてすげえ大変だったんだぞ。多分おまえよりちょっとだけこの世界に長くいる。」

「へー、どんな感じだったの?」

「えっとさー、まずとにかくなげえなげーーえ穴をずーっと落ちてさー・・・。」

2人は談笑しながら森の中を進んでいった。