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気候変動がアラスカのサケを縮小させる

2020.08.21 10:00

 世界中のシーフード愛好家に愛されているアラスカの珍重されたサケが小さくなり、気候変動が原因ではないかと疑われていることが、貴重な漁業、先住民族、野生生物にリスクをもたらす可能性があることを示す新しい研究で報告された。

 アラスカ大学フェアバンクス校(University of Alaska at Fairbanks, UAF)の科学者が主導したこの研究によると、アラスカの野生のサケ5種のうち4種は過去60年間で平均魚のサイズが縮小しており、2010年以降は成長の鈍化が顕著になっていることがわかった。

 最も大きな打撃を受けたのは、アラスカの正式な州魚であるチヌークサーモン(キングサーモンとしても知られている)である。

 水曜日に学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)」に発表されたこの研究によると、チヌークサーモンは1990年以前と比べて平均で8パーセントも小さくなっているという。また縮小しているのはアラスカのベニザケ、コーホーとチャムサーモンである、と報告書は示している。この調査結果は、60年以上にわたって収集した1,250万匹のサンプルからのデータに基づいている。

 サケの伝統のとアラスカ人からとの歴史を研究する、UAFの水産海洋科学専門で研究の共著者であるフィンレイ・ロビンソン(Finlay Robinson)教授は、「気候変動とサケのすべての種の間で増加した競争に起因する海洋の温暖化は、魚の縮小の背後にある最も可能性の高い要因である」と指摘した。

 サケはより早い年齢で海で成熟し、過去に比べて若くて小さい段階で淡水に戻ってきている、と研究は発見した。

 そのチヌークサーモンで有名なユーコン川のような水路では、海で7-8年を過ごした「本当に大きな大物」はもはや見られない、とロビンソン教授は言った。その代わりに、戻ってくるチヌークの多くは4歳になったばかりだと彼は言う。

 アラスカは、全米の野生のサケの大部分を生産している。州当局によると、昨年、商業漁業者は2億600万匹以上のサケを収穫し、6億5760万ドルで販売したという。サケは、アラスカやユーコン準州の一部の先住民にとっても主食となっている。

 赤身の魚は、アラスカの熊やその他の野生動物にも食べられている。魚が小さくなるということは、これらの野生動物の栄養分が少なくなるということであり、イクラの卵の数も少なくなる。

 「それは卵を食べるものに影響を与えているが、それはまた、サケの個体数自体にも影響を与えている」とロビンソン氏は述べた。

 調査結果は、サケを管理するには、サケの群れの大きさだけでなく、個々の魚の大きさを管理する必要があることを示している、とロビンソン氏は語る。「魚の多様性を失い、小さな魚だけになってしまったら、ここは問題のある水域になってしまう」