France & Daverkosen（France & Son / CADO）

2021.11.30 15:00

デンマーク黄金期に存在感を示した家具メーカー

1930年頃にデンマーク人のエリック・ダヴァ―コセンとイギリス人のチャールズ・フランスによりマットレスメーカー「Lama（ラマ）」として創業します。エリック・ダヴァ―コセンは37才の若さで亡くなってしまうのですが、意思をうけついだチャールズ・フランスが1948年にマットレス技術を生かしたソファやイージーチェアのクッションを備えた家具メーカー「France & Daverkosen（フランス＆ダヴァーコセン）」を設立します。

当時チーク材は天然樹脂成分により刃物の切れ味が悪くなるため量産の家具には不向きとされていました。しかしタングステンカーバイドという超合金の刃が開発され、1953年にチーク材による初の量産家具としてフィン・ユールによるスペードチェアを発表します。

1957年にシャルルフランスの息子を経営陣に加えたため「France & Son（フランス＆サン）」と社名を変更しました。
France & Sonの家具は量産家具ではありますが著名なデザイナーによってデザインされ、量産家具とは思えない雰囲気が漂っています。

当時のFrance & SonはArne Vodder（アルネ・ヴォッダー）, Grete Jalk（グレード・ヤルク）, Peter Hvidt & Orla Molgaard Nielsen（ピーターヴィッド＆オルラムルガードニールセン）, Inger Klingenberg, Finn Juhl（フィン・ユール）, Ole Wanscher（オーレ・ヴァンシャー）, Greve Sigvard Bernadotte（シグヴァルド・ベルナドッテ）,Edvard & Tove Kindt Larsen（トーベ・エドワードキンドラーセン）など著名なデザイナーの製作を手掛けており、その影響力の高さが伺えます。

特に1960年代前半は世界的なデンマーク家具の人気もあり、France & Sonは勢いがありました。ライバルのFritzHansenから従業員を引き抜くなどしてピーク時には約350人の従業員を抱えていました。デンマークの家具輸出全体の60％を占めていたこともありました。

その成功のひとつに輸送のために簡単に解体できるように「ノックダウン」のシステムを取っていたことにあります。France & Sonにとって最大の市場の1つがアメリカであったため、輸送コストがはるかに安くなったようです。

品質管理も徹底しており、デンマーク家具の品質維持を目指した団体「DANISH FURNITURE MAKERS’ CONTROL」へに対しては自分たちの管理の方が優れているとして、加入をしていませんでした。

チャールズ・フランスは、France & Sonを「家具のロールスロイス」にすることを目指していて、当時も同社の家具は高級品でした。英国にある本社はボンドストリートメイフェアにあり、家具はハロッズ＆ヒールズなどの高級店で販売されていました。

しかし1960年代後半からチーク材が高騰したことと、またチーク材が飽きられてしまったことなどから徐々に経営が厳しくなっていきます。1967年に同社はデンマークの家具デザイナーPoul Cadoviusに買収され、CADO（カド）となります。そのCADOも1970年代の中ごろには廃業してしまいます。

【刻印（メダリオン）の変化について】

1948年にFrance & Daverkosenを創業してから、1957年にFrance & Sonへと社名を変更しました。1967年にPoul Cadoviusに買収されてからも数年はFrance＆Sonの名前でさらに数年間取引を続けていました。CADOへと社名を変更してからも10年ほど工場から家具を生産し続けました。そのため刻印（メダリオン）によって製造された年代がある程度読み取れます。

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