虹について
http://blog.livedoor.jp/dnb384/archives/6547741.html 【虹について】 より
ゴールデンウィークにも関わらず昨夜からあいにくの雨であったが、今日の午後からは晴天へと転じた。八王子では虹が出たらしくFacebookでは多くの写真がアップされていた。
それについて友人が次のようにTwitterでつぶやいていた。
<そういえば、虹って今でこそ風流なモノだけど、古典で讃え謳われてるものってあったかなぁー? むしろ畏れられてたんかな…彗星とか日食みたいに。>
そこで少し調べてみた。
まず、古代の人は虹を「大蛇」や「龍の息」と関係づけていたらしい。‘虹’という字の虫偏は蛇を表し、それに【貫く・横たわる】という「工」がついたのが「虹」という字だそうだ。すなわち天を貫く大蛇のイメージである。また‘にじ’の古形は‘ぬじ’であり上代東国方言では‘のじ’とも言うが、この‘ぬじ’も“沼の主”つまり蛇や大蛇などの“ぬし”が語源という説があり、これもまた蛇のことなのだという。
【http://www.nhk.or.jp/kininaru-blog/93277.html より引用】
そして古来、虹を詠んだ和歌・俳句は極めて少ない。虹は自然現象の中でも極めて印象的なものの一つである。自然に対する瑞々しい感性を持ち続けた我らの先人がかくも虹を詠まなかったのはやはり忌むべきものであったのであろうか。
日本人の詩心の原風景ともいうべき万葉集にあっても、虹を詠んだ歌はたった一首しかない。第十四巻・3414番-上野国で詠まれた東歌である。
「伊香保ろの八尺(やさか)の堰塞(いで)に立つ虹(のじ)の顕ろまでもさ寝をさ寝てば」
現代語訳:伊香保山の大きな堰塞に立つ虹のように、人目につくまで共寝をつづけられたら…
性への欲求を極めて率直に表現している。東歌の特徴である。
万葉集研究の泰斗・中西進はここでの《虹:のじ》について
「不吉な邪淫の現れとされた」
と注記している。【講談社文庫「万葉集 全訳注原文付(三)」】
天を行く大蛇ないし龍という虹のイメージ-それが湿った淫乱のイメージとなって古代の人々の眼に映ったのだろうか。
やはり虹は彼らにとって忌むべきもの、少なくとも歓迎すべからざるものであったのであろう。
虹が本格的に文壇に取り上げられるのは大正時代以降である。
https://www.keiryou-keisoku.co.jp/today/sanpo/malemaga/malemaga_10.htm 【 天かける橋ならぬ蛇?──虹にまつわるお話】 より
雨の多い季節になりました。
雨の中を出掛けなければならない日は憂鬱になりますが、出先で雨上がりの空に虹がキレイに架かっているのを見つけたりすると、
「ちょっとラッキー♪」
と思うこともありますよね。
ところが、心和ませる虹も、必ずしも良いイメージのものとは限らないようです。
虹の語源には諸説あるようですが、「万葉集」では虹は「ヌジ」、日本霊異記では「ニジ」とあり、池や沼にいる主(ぬし)の語源と一緒だという説があります。
昔の人は、虹を恐ろしい霊物に例えていたのでしょう。
また、「ヌジ」という言葉は、蛇類を表す古語ナギ(ナジ)に通じるという説も。この「虹=蛇」という考え方は、全国のみならず全世界的に見られる考え方でもあります。
沖縄では、虹は雨呑み者(アミヌミヤー)と呼ばれる赤まだらの蛇だとされていました。このアミヌミヤーが天の泉の水を飲んでしまうため、下界に雨が降らなくなると言い伝えられていました。すなわち、虹は干ばつの先触れと思われてきたのです。
そこで、虹は決して指さしてはいけない不吉なものとされてきました。
お隣の国、中国では蛇よりもダイナミックになり、虹霓(こうげい)と呼ばれる雌雄の龍だとされていました。虹が雄で、霓が雌。雨によって天地が結ばれ、竜が水を飲みにくるときに虹ができるのだそうです。
虹が出ると戦乱が起きるなどの凶兆ともされましたが、一方で竜(虹)に感じて聖王を孕むといった吉兆を示すこともあり、吉凶両方の言い伝えが残っています。
これがヨーロッパ諸国になると、俄然ラッキーの象徴として捉えられることが多いようです。
ドイツの伝承によると、虹の根元には金のカップがあるとされています。虹は水を飲みに天から現れるのですが、虹が水を飲んでいる間に虹の根元に辿り着ければ、そのカップを手に入れることができるのです。一生、持ち主に幸運をもたらし、手放すとたちまち不幸に見舞われるというカップ。フランス、ブルガリアでも同様の話があります。
実は、ヨーロッパのように虹と富を結びつける考え方は、中国や日本にもあります。中国では、虹が釜の中の酒を飲みに来て、あとに金塊を吐いていきます。日本だと、虹の根元を掘ると財宝が出てくるといった話になります。
このように、昔から吉凶両方のイメージで捉えられてきた虹。虹のメカニズムが解明されている今でこそ、美しいものとして鑑賞できますが、昔は畏怖の対象として、恐れ、また崇められてきたのでしょうね。