【社長通信】記録的猛暑に耐えて
7月末にようやく梅雨が明けたと思ったら、月が替わっての7日は立秋という。近年は暦のいう季節と気象予報士による現実の季節感とのギャップが大きくなっていくようで不気味だ。梅雨明け10日どころかお盆を過ぎてもなお続くこの猛暑は、コロナとともにわれわれ人間に何かを問いかけている。そのキーワードはどうやらSDGsのようだ。
この夏はいつもとは違って子どもや孫たちも帰ることがかなわず、SNSにて元気な様子を確認するだけの味気ないお盆だったが、コロナ禍のなかでのこの暑さでは仕方がないと引き籠った。いつも休日に外出の予定がない場合は先ず事務所に行き、昼まで新聞に目を通したり本を読んだりすることが常だ。事務所の執務室が書斎替わりで一番落ち着くし、休日でも業務が動いているので何らかの役にも立っている。
春から秋にかけては畑仕事や庭の草取り、さらに裏の空き地の草刈りなどがあり、休日の午後の楽しい作業でもあった。アプローチの練習場としていた裏の空き地の草も長雨で伸び放題。お盆休みに刈ろうと思っていたが、この暑さでは危険とあきらめた。そこで、エアコンの効いた事務所に籠って積読の解消に努めたのでした。
以前、生業としていた編集者の習性として新聞の書評欄にはよく目を通す。そこで目に留まった本を手に入れ、即読むものもあれば時間をかけてじっくり読もうと本棚に積んでおく。
先日は700㌻超の分厚い本を丸2日かけて読み終えた。戦争の記憶を呼び覚ます8月にふさわしい三上智恵著「沖縄スパイ戦史」である。沖縄戦の深い闇に迫る証言集でもある。因みに出版に先立って製作された映画は昨年観たが、活字の方が奥深く読みごたえがあった。戦争の非人間性に思いをいたす。
10日発売の文芸春秋9月号にて芥川賞受賞2作品を読んだ。「首里の馬」と「破局」である。どちらも一気に読ませる筆力はあるが、読後感がなぜかすっきりしなかった。作家の登竜門ともいわれる芥川賞だがそれぞれの作品はその時代を反映していて面白いが、歴史に名を刻む作家は限られる。これはどの世界にも共通することだがプロの世界は厳しい。
ところで新型コロナの感染が一向に収まる気配がない。東京をはじめ地方にもじりじりと拡大し、時にクラスターも発生して気が抜けない。毎日PCR検査の結果、感染者数が発表されるがその数字の奥にある意味が伝わってこない。
私としては自らが感染しないように、させないように気を配る。
人前ではマスクを着用.「3密」を避け、うがい、検温、手洗いに消毒と基本的なことは守っている。不要不急の外出も控えているが、果たしてこれで良いのか、いつまで続くのかとふとした時に鬱になる。人間誰しもそうと思うが先の見通しが立ち、あーすればこうなるとはっきり分かっていればそれなりにきちんと対処するが、そうでないところでは迷い、不安に襲われる。
世の中全体に不確定要素が蔓延し相互不信、疑心暗鬼に陥ることだけは避けなければならない。「一味同心」現実を受け止め、自分を信じ、仲間を信じて前を向こう。ご安全に!
代表取締役 加藤慶昭(8月17日記す)