「歴史ある街リバプール」Anfield Liverpool, England
早朝5時前。ロンドンから移動し、アンフィールドがある街リバプールに到着。とにかく寒い。暗い。明かりを求めてやっと見つけたのが、旅人の3大味方マクドナルド。
中に入ると、それはそれは大きなカルチャーショックが待っていた。朝帰りの若者たちが地べたに座りこみ、何やら騒ぎまくっている。地面にはゴミが散乱し、足の踏み場を選ばなければならない。何だ、これ。店員が全く気にしないのを見ると、これが日常なのだと判断できる。外に出ると、少し明るくなった街にもまた、ゴミが散乱している。
彼らが発するとてつもないパワーを目の当たりにして、こいつらがサッカーファンだったらやばいなと思った。こいつらは、サッカーファンだった。
歴史ある街リバプール
この街には歴史とプライドがある。ビートルズが誕生した地、リバプールFCやエヴァートンFCというフットボールクラブが生まれたこの街には、幾つものミュージアムが建設され、自らの歴史をこれでもかと見せつけている。港にあるリバプールミュージアムではこの街の歴史を覗くことができ、港町の成り行き、ビートルズや競馬、ボクシング、もちろんフットボールの歴史についても多くの展示品が飾られている。フットボールがこの街の歴史の一部であることを感じることができた瞬間だった。
スタジアムの周りは
酒とおっさんで溢れいてる。
アウェイのドルトムント戦から中2日。ホームでストークシティ戦が行われるアンフィールドは、多くのリバプールファンで満たされている。非公認ショップが立ち並び、声の大きなお兄さんやお姉さんが、タオルマフラーを売りさばいている。
その隣にはパブがある。というか、そこら中にある。リバプールファンは、キックオフギリギリまでここでビールを飲み、一通り仲間と騒いでから会場に入る。それはとんでもない雰囲気だった。一度入れば出ることは非常に難しい。
ちなみに、同じリバプールに本拠地を置くエヴァートンFCのホームスタジアムは、アンフィールドから徒歩5分の場所にある。意外にも先に出来たのはエヴァートンの方で、プレミアリーグの前体制の初期からあるチームの一つだそうだ。もちろんリバプールとエヴァートンはライバル関係なんだけれど、リバプールとマンチェスターのような憎み合うような関係ではなく、兄弟喧嘩をするような間柄だそうだ。
THIS IS ANFIELD
試合開始前までは客がまばらだが、キックオフと同時にリバプールファンで埋め尽くされる。席と席の間はないに等しい。このスタジアムの雰囲気に加え、観客が作り出すプレミアリーグの試合は、文字どおり最高だった。あの雰囲気で熱くならない人間はおそらくいない。試合は4ー1でリバプールの勝利。先制点は豪快なミドルシュートだった。ボールがネットを揺らすコンマ数秒前には座っていた観客が一人残らず立ち上がり豪快に両手を突き上げる。その瞬間が、僕にはたまらなかった。ファールに対する罵声、不可解な判定に対するブーイング、良いプレーに対する拍手、そのすべてがこのスタジアムを作り上げる。
FOOTBALL発祥の地にあるこのスタジアムは、FOOTBALLそのものだった。
ユルゲン・クロップ
この日も彼は、選手とともに戦っていた。身振り手振り、笑ったり怒ったり、ハグしたり。
試合を終えた後、帰りを待っていたファンに、クロップは充分すぎるほどのファンサービスをして帰っていった。まじかで見た彼は、大きくて、優しくて、そして抜群にかっこよかった。
これからもこの偉大なチームの歴史は、偉大なサポーター、偉大な街、そして偉大な選手たちと共に、続いていくことだろう。