Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

Penguin & Co│Webサイト・デジタルマーケティング,Public relations専門のコンサルティングファーム

オンライン診療システムの導入に関する調査データから考える、デジタル医療の今後

2020.08.27 00:34

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症を追い風に普及の進むオンライン診療システムの現状と課題、そして今後とは?

当面の間延長することが決まった、電話・オンライン診療の特例措置。緊急・臨時的な対応であるこの電話・オンライン診療の措置について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染収束後もどのような方針の下で医療機関は導入・運用を考えればよいのか?が注目されていることと思います。

そこで、これまでに出されてきた各所の調査レポートをまとめてみました。様々な角度からオンライン診療の現状と課題を見直し、今後のアクションプランを検討してみたいと思います。

官公庁・リサーチ企業・医療メディア、コンサルティングファームなどの調査まとめ

下記、2020年8月27日現在までで総論的な調査をされているデータをまとめてみました。

令和元年度オンライン診療の普及促進に向けたモデル構築にかかる調査研究(総務省)

※調査対象:患者(63名)、業者(5社)、病院・診療所(7施設)


オンライン診療についての現状整理(日本医師会総合政策研究機構) 

※調査対象:各種調査レポート(レビュー論文)


新型コロナウイルス感染拡大における医院運営への影響とその対策について(「ドクターズ・ファイル」株式会社ギミック)

※調査対象:病院・診療所の医師(119名)


「コロナ禍での国内医療機関への通院状況・オンライン診療の活用状況」に関するアンケート調査結果(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社)

※調査対象:患者(5,000名)、病院・診療所の医師(229名)


電話・オンライン診療に関する調査(株式会社クロス・マーケティング)

※調査対象:患者(1,100名)


医療機関の現状と最前線で働く医師の本音についてアンケート調査(「Dr.転職なび」「Dr.アルなび」を運営する株式会社エムステージ)

※調査対象:病院・診療所の医師(180名)


オンライン診療の特例措置、どう思う?-オンライン診療の特例措置、恒常化の是非、意見二分(医療維新 株式会社m3.com)

※対象:m3.com会員(開業医:180人/勤務医:595人/歯科医師:7人/看護師:25人/薬剤師:293人/その他の医療従事者:66人)


オンライン診療システムの現状と課題

本来の理想像は、医療格差のある地域などでの高齢者・子育て世帯・希少疾患患者の医療の均てん化

そもそもは、地域によって差異のある医療提供体制の均てん化という役割をオンライン診療は求められていたはずです。パソコンやスマートフォンなどの端末の取り扱いが十分でない人たちのためには何らかの支援補助対策が必要であり、そのようなヘルプ・サポートを含めた医療の提供が今後も必要となるでしょう。このような領域の議論の基点となるだけの実績が徐々に出来てきているのではないでしょうか。

無論、COVID-19下における感染対策の徹底にもこうした遠隔医療は一定の意義があると考えますが、しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染収束後も残る社会的意義とは〝生活している場所が理由で、受けたい医療が受けられない〟——生命維持と生活の質の保持を損ねかねない機会の不平等という問題を解決してくれることだと思います。

COVID-19下という緊急事態に、オンライン診療を体験されたことのある方の人数が、医療格差という領域にスポットライトの当たるような閾値を超えるだけの絶対数に届きつつある――という事実に、一定の意義があると考えます。

経営面における投資対効果の低さ

保険点数については、しかし電話・オンライン診療は依然として対面のそれとは差別化が図られています(※後述の事実がその理由でしょう)。保険点数も、common diseaseを事例とするならば既存の対面診療の1/3~1/2という水準に留まります。

オンライン診療システム導入に係る費用・労力に対するリターンとして医療収益が十分に上がるのかどうかは、3~5年の減価償却ペースを見ないとなかなか判断の付かないところもあります。

いつ、何の目的で、どのような目標の下で導入するのか…というポイントを念頭に置かねば、「費用を掛けて入れたのに・・・」という事態になりかねません。

依然として残る、対面診療の価値と安全性の意義

しかしやはり診断をする普段の診療では、医師としての業務における治療方針の原則を十分に満たす医療ではないと考えられます。

患者さん・ご家族の雰囲気・空気間がつかめない分、トラブルリスクは高く、特に家族関係を含めた医療を提供する機会の多い診療科ではそのハードルとリスクは対面のそれとは大きく異なるものと考えます。


今後について

何はともあれ、あくまでも緊急・臨時的な対応であるこの電話・オンライン診療の特例措置。その社会的意義と医療における安全面・経営面の両立が標準化され図られるようになるまでは、各施設において試行錯誤が求められそうです。

また、国や地方行政の方針としても、それぞれの地域特性に合わせた医療提供について熟慮が求められるだろうと考えます。我が国のナショナルセンターでは「まずはセカンドオピニオン」という動き(国立精神・神経医療研究センター、国立成育医療研究センターのみがオンライン診療システムを導入)が見て取れますが、診療所・クリニックのようなレベルの施設ではこのような単価設定は困難で、やはり投資対効果の低さが課題となり何のアクションの取れないところも少なくありません。

昨今、各施設でオンライン診療の実施回数は徐々に増えており、オンライン診療の潜在ニーズ・顕在ニーズは低くはないことが伺えます。

医療格差の均てん化という理想像に近づけるため、それぞれの医療機関(それは診療所・クリニックから総合病院・大学病院・ナショナルセンターに至るまで)の提供する医療の姿がどのようなものであるべきかの追求はさらに続くことでしょう。