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な で し こ の 養生

たより25 生物時計(体内時計)

2020.08.28 15:00

高血圧、糖尿病、脳疾患、心疾患、癌、心の病、その他難病と現代にはさまざまな病気がありますが、これらのほとんどが生活習慣に起因していると言っても過言ではないと思います。


「不規則な生活は病気になりやすい」ということは想像できると思います。

逆に、「健康のために規則正しい生活をする」ということもなんとなくわかるかと思います。


では、なぜ不規則な生活だと病気になりやすいのでしょうか?


それは、時計遺伝子が乱れるからです。


生物時計(体内時計)という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。


約10憶年前、地球の自転周期は約20時間でした。現在は約24時間。

このように変動する地球の自転周期に同調させるように、生物時計というものが存在します。


植物から生物時計が発見されたのが1950年代なので、まだ新しい研究分野と言えるでしょう。

1972年に哺乳動物の生物時計が脳の視交叉上核にあることが発見され、1997年には生物時計の中に時計細胞、時計細胞の中に時計遺伝子があることが発見されました。

現在では、脳の視交叉上核にある親時計の他に体内の抹消組織のいたるところに子時計があることもわかっています。


人は、朝目覚め、昼に活動し、夜は眠りにつくという生活を繰り返し、体温、血圧、ホルモンなども1日のうちで変動があります。このような1日周期の変動を概日リズム(サーカディアンリズム)と言います。

概(おおむね)1日ということですね。

生物時計は地球の自転周期と全く同じではなく、少し余裕をもって遺伝子に組み込まれています。

そして、毎日地球の自転リズムと合うように調整しています。


しかし、現代の私たちの生活は科学の発達とともに激変しました。


昔、紅茶教室に通っていたときに聞いた話ですが、イギリスで午後のティータイムが楽しまれるようになったのは、灯りの発達により夜遅くに食事を摂るようになり、昼食から夜食の間に小腹が空くためだったということでした。


このように灯りの発達は私たちの生活スタイルを変えてきました。


現在、特に都市部では24時間営業の店があり夜でも外は明るく、シフト制勤務で昼夜逆転の生活をしている方もいます。

日中は外の太陽の光と比べると格段に暗い室内の蛍光灯の下で働き、夜になると外の月明かりよりも格段に明るい室内の蛍光灯の下で過ごすという、不自然な生活をしている人がほとんどだと思います。

参考:満月0.2ルクス 明るい室内500ルクス 明るい日光の下25,000ルクス

ルクスは照度の単位です。


しかし、人は、日の出から日没まで、太陽と共に活動する昼行性動物です。


現代は、地球が誕生してからの長い年月から考えれば、とても短期間で生活環境が変わり、時計遺伝子の乱れにより、サーカディアンリズムに異常が生じ、病を引き起こしやすくしています。


不規則な生活→時計遺伝子の乱れ→サーカディアンリズムの異常→身体機能の異常→病気

規則正しい生活→時計遺伝子の正常化→サーカディアンリズムの正常化→身体機能の正常化→健康


身体機能の異常という観点でもうすこし詳しくみていくと、血圧は1日のうちで変動していますが、本来就寝して体を休めているはずの夜間に活動していると夜間に血圧が高くなり心疾患や脳疾患のリスクが高まります。糖尿病に関わりのあるインスリンというホルモンは本来食事をする日中に出やすくなっているので、インスリンが出にくい夜遅くに食事をすると体に負担がかかります。脳の松果体から分泌されるメラトニンという睡眠に関係するホルモンは、夜間に多く出るようになっています。そして、光を浴びることでメラトニンは減少します。夜型生活は睡眠障害を起こしやすく、また不十分な睡眠から心の病を引き起こすこともあります。


サーカディアンリズムの正常化のための主な行動が「朝の太陽の光を浴びる」と「朝食をとる」です。


親時計の調整は、「朝の太陽の光を浴びる」

子時計の調整は、「朝食をとる」


目から入った光の刺激は視神経を通じて脳の視交叉上核にある親時計に伝わります。

これに対し、抹消組織にある子時計は食事のリズムと同調しており、特に、夜間の長い空腹の後に摂る朝食がリズムを整える役目をしています。

親時計、子時計、両方の調整のために、できるだけ午前中に外に出て太陽の光を浴びる、朝食をとることを心がけましょう。


そして、逆に「夜は明るい光を浴びない」「夜遅くに食事をしない」ことも大切です。

昔のやわらかな灯りと比べると現在はLED、パソコン、スマホなど明るい光を浴びる機会が多くなりました。夜間に本来浴びることのない強い光を浴びたり、体を休める時間帯に食事をすると体内時計のずれが大きくなります。夜は室内を暗めに保ち、夜遅くのパソコンやスマホの利用は避けましょう。


それと、体内時計には個人差があります。朝型の人、夜型の人、また年齢によって睡眠時間が変わってきたりします。自分の体内時計と宇宙のリズムを無理のないように合わせるということが健康的な生活につながってきます。


人間は人間だけで生きているのではなく、宇宙の中の存在だということを忘れないようにしましょう。

太陽や月をはじめとする宇宙の影響を受けて存在しています。


生物時計の分野は今後ますます明らかになっていくとは思いますが、難しいことは理解できなくてもいいと私は思っています。

古代の人は自然を観察して、いろんなことを考えたり感じたり経験したりしてきました。

1日では朝・昼・夜、1ヶ月では上弦・満月・下弦・新月、1年では春・夏・秋・冬というように自然のリズムに沿った生活を楽しみましょう。