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万葉集: 月(つき)を詠んだ歌 ③

2020.08.28 02:23

https://art-tags.net/manyo/four/m0623.html  【第四巻: 0623: 松の葉に月はゆつりぬ黄葉の・・・】 より

原文

松之葉尓 月者由移去 黄葉乃 過哉君之 不相夜多焉

作者

池邊王(いけへのおおきみ)

よみ

松(まつ)の葉に、月(つき)はゆつりぬ、黄葉(もみちば)の、過(す)ぐれや君が、逢(あ)はぬ夜(よ)ぞ多き

意味

松(まつ)の葉に、月(つき)がかかるまでに時が過ぎてしまい、あなた様に逢えない夜が多くなりました。

「松(まつ)」は「待つ」を思い起こさせます。また、「黄葉(もみちば)の」は「過(す)ぐ」を導く枕詞(まくらことば)です。

- rough meaning: The time has passed before the moon over the pine leaves, and the nights whenI can't meet you have increased.

補足

この歌の題詞には、「池邊王(いけへのおおきみ)の宴(うたげ)に誦(よ)む歌一首」とあります。ほかの人が詠んだ歌を唱えたのかもしれませんね。


https://art-tags.net/manyo/four/m0670.html  【第四巻 : 月読の光りに来ませあしひきの】より

原文: 月讀之 光二来益 足疾乃 山寸隔而 不遠國

作者: 湯原王(ゆはらのおほきみ)

よみ: 月読(つくよみ)の、光りに来ませ、あしひきの、山きへなりて、遠からなくに

意味: 月(つき)の光をたよりに来てくださいな。山で隔(へだ)てて遠いというわけではないですから。


https://art-tags.net/manyo/four/m0671.html【第四巻: 0671 : 月読の光りは清く照らせれど・・・】  より

原文

月讀之 光者清 雖照有 惑情 不堪念

作者

不明

よみ

月読(つくよみ)の、光りは清く、照らせれど、惑(まと)へる心、思ひあへなくに

意味

月(つき)の光は清く照らしていますが、私の心は暗く、お目にかかりに伺(うかが)う気持ちになれません。

この歌は、「湯原王(ゆはらのおほきみ)」の詠んだ歌(月読の光りに来ませあしひきの山きへなりて遠からなくに)に答えた歌です。


https://art-tags.net/manyo/four/m0702.html  【第八巻 : ぬばたまのその夜の月夜今日までに】 より

原文: 夜干玉之 其夜乃月夜 至于今日 吾者不忘 無間苦思念者

作者: 河内百枝娘子(かわちのももえのおとめ)>

よみ: ぬばたまの、その夜の月夜(つくよ)、今日(けふ)までに、我れは忘れず、間(ま)なくし思へば

意味: あの夜の月(つき)を今日も忘れられません。ずっとあなた様のことを想っていますので。

ぬばたまのは、「夜」などを導く枕詞(まくらことば)です。

大伴家持(おおとものやかもち)に贈った二首のひとつです。


https://art-tags.net/manyo/four/m0709.html 【第四巻 : 夕闇は道たづたづし月待ちて】より

原文: 夕闇者 路多豆多頭四 待月而 行吾背子 其間尓母将見

作者: 豊前國娘子大宅女(とよくにみちのくちのをとめおほやけめ)

よみ: 夕闇(ゆふやみ)は、道(みち)たづたづし、月(つき)待(ま)ちて、行(い)ませ我(わ)が背子(せこ)、その間(ま)にも見む

意味: 夕闇(ゆふやみ)は、道が暗くて見にくいですね。月(つき)が出るのを待ってからお帰りください、あなた様。それまでの間、あなた様を見ていましょう。