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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

バロックの時代11-ルーベンス再びスペインへ

2020.08.28 08:45

1626年に愛妻を亡くしたルーベンスは、それを忘れようとするかのように外交に没頭した。バッキンガム公の側近であり美術バイヤーであるバルタザール・ジュルベを招き、観光させたりして英蘭と下ネーデルランドとの関係を修復しようとした。オランダとはうまくいったようだ。

ところがフランスでラ・ロシェル包囲戦が始まり、スペインとフランスは対ユグノーの関係で一時的に仲直りした。オランダは態度を硬化した。そしてルーベンスの動きはフェリペ4世の知るところとなり、イザベラ公妃に「外交のような重要問題に画家ごときを関わらせる伯母上の気持ちがわかりません」と手紙を書いた。

しかしラ・ロシェルが解決するや、リシュリューは反ハプスブルクに変わり、ルーベンスにスペインからオファーがあった。28年チャンス到来とばかり、ルーベンスはスペインに赴く。ここで寵臣オリバレス公伯と長時間話し合い、英国からはジュルベも来た。ところがバッキンガム公暗殺の報が届く。

仕方なくルーベンスはまた画業に専念したが、そのとき会ったのが若きヴェラスケスである。そしてルーベンスがマドリードで描いた絵が、ヴェラスケスのライバル意識を燃えたたせることになる。

下左はルーベンスと最初の妻イザベラ、右は後妻エレーヌと