広告と政治家
今日は、フランスで話題の広告のお話。
フランスでは今年の7月1日から、スーパーでの使い捨てのレジ袋が全面的に法律で禁止されることになりました。現環境大臣の Ségolène Royalのイニシアティブで実現しました。
これをチャンスと、フランスの大手スーパーE.Leclercは広告キャンペーンを展開しました。
それが、こちらです。
Ségolène Royal の1992年の写真を広告に使い、次のようなメッセージを掲載したのです。
"Eh oui, Madame Royal, c'était en 1996 et nous avions déjà supprimé nos sacs de caisse."
(もちろんそうですよ、マダムロワイヤル、われわれはすでに1996年にレジ袋を廃止したんですよ。)
いくつかのスーパーでは、この法律が成立する前に環境に配慮してレジ袋を廃止していました。
そのうちの一つであったE.Leclercが、今回の法律の施行を自分たちのコーポレート・アイデンティティを世に広めるチャンスと捉え、今週水曜日から広告を展開したのでした。
法律の施行と同時期に出されたこの広告は話題となり、いくつものメディアが取り上げました。
Ségolène Royal は、「今朝の全ての朝刊に自分を発見して驚きました」とコメントしています。
「良い理由のためならば、わたし自身が利用されるのは構いませんよ。」と快く言っていたSégolène Royalでしたが、一応キャンペーンはここでストップするようにという要求を出しました。
E.Leclercの代表Michel-Edouardも、「自分は彼女がそういうのも当然だと思う。なぜならば、このポスターが彼女の評判に不都合になるような使い方もされてしまったので、無理もない」と言っており、キャンペーンはぴたっと終わりにしました。
E.Leclercは年間売り上げ約5兆円の大企業ですから、現環境大臣がキャンペーンに使われいていると政治の癒着などを疑われるのも無理はなく、Ségolène Royalが痛くない腹を探られる前に中止を求めたと言えるでしょう。
しかし、Michel-Edouardも言っているように、一方的に怒ることなく流れの中でうまくイメージをコントロールしたSégolène Royalは "très bonne joueuse"(グッド・プレイヤー)であるという印象も与えられたキャンペーンでした。
今回の広告キャンペーンは短期間でありがなら、広告効果は絶大であったと言えますね。
フランスでは政治家がこうして広告に使われるのも珍しくなく、ジャック・シラク、フランソワ・オランド、ニコラ・サルコジなどもメディアの広告として使われています。