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京都市桂坂 動物図鑑

ヤママユ(ヤママユガ)

2020.09.01 00:52

ヤママユという蛾によく似たクスサンという蛾がいます。

最初私は写真に写る蛾をクスサンだと思いました。翅や体の色が画像検索で見るクスサンとほぼ同じことからそう判断しましたが、その後この図鑑の共同執筆者からヤママユでは?との指摘を受けて、それからネット上で何十枚かのクスサンとヤママユの画像を見比べて「これはヤママユだわ!」になりました。

決定的なヤママユの特徴は、前翅の先の丸さの違いと、前翅目玉模様下にある一直線の黒い線だと思います。特に一直線の黒い線はクスサンには無いようなので、ここを見ればクスサンとヤママユは区別できる!(たぶん)と思いました。今までのところ同定作業に一番時間を使った昆虫です。

今回の経験で、ネット上の画像で同定作業を行おうとするときには・・・

1.画像をいくつもいくつもたくさん見て比べること
同じヤママユでも季節や地域や個体によって色具合にずいぶん違いがあるので、1枚の画像だけで判断すると間違いそう。

2.ネット上で書かれた情報は、ネット特有の問題の「間違って書かれているものもけっこうある」をよく意識して、「ここのこう説明されているけど、ウソかもしれない・・・」と疑った上で、他のサイトでも同じ説明かどうかいくつも見比べてみることが大事です。

できればネットではなくて信頼おける昆虫図鑑で同定作業するのがいいと思うけど、何が何なのか見当もつかない虫の場合はGoogleの画像検索がすごく役立つことは事実です。まず画像検索でアタリをつけて信頼できる図鑑で同定の仕上げをするのが理想でしょうね。だけど信頼できる図鑑はやたら高価なのが難点ですが。。


ヤママユはカイコの繭に似たサナギになります。そのサナギはカイコの繭を薄緑色にしたような風合いで、糸を紡いで反物を織り、着物にもできるのだそうです。その価値はとてもとても高くて・・・そういう蛾の幼虫が桂坂にも住んでいるんです!

クヌギの葉などが幼虫の餌だそうで、秋になりかけた今はもう幼虫は見つからないかもしれないけど、来年の春は緑色のイモムシを見つけ、もしそれがヤママユの幼虫だったら飼って育ててみようかと思っています。

桂坂のヤママユは今シーズンに2匹お目にかかれました。一匹目はお盆の終わり頃、バスの通る道の街路樹に止まっている上の写真の個体、

もう一匹は8月終わりに山野辺公園と天蓋公園を結ぶ緑道途中の地面に止まっていました。多分もうこの個体は寿命末期で飛ぶこともできなかったのだと思います。

手に取ってもおとなしくしていて逃げる力もありません。


これはヤママユをひっくり返したところを写した写真です。ふさふさした触角があるので雄でしょう。
この蛾には口がありません。親になったら一切食べない蛾は何種類もいまして、親虫は子孫を残すための生殖活動に専念するために、食べるのを放棄して、体に予め貯えた栄養だけで生きているわけなんです。そうすることによって餌をさがすという余計な活動をしなくて済むから合理的なんでしょうかね。サラリーマンやっていた頃に、昼飯は食わないという同僚がいまして、彼は昼飯食う時間も仕事して早く家へ帰る、という作戦のようでしたが、きっとヤママユもそんな感じなんでしょう。


ヤママユは敵に襲われそうになると後翅の目玉模様を出して見せて敵をビックリさせるらしい、と言われるので、翅をめくって目玉模様をチラ見しました。
しかしあんまり迫力のある目玉ではありませんでした。個体によってこの目玉もいろいろあるようなのですが・・・


せっかくなので、お顔のアップを写真に撮ってみました。

いかがでしょうか。
けっこううさぎさんみたいで可愛いでしょう!


虫は気持ちが悪いって思っている人にアドバイスです、

多くの昆虫は顔をよく見てみると意外にも可愛いお顔していることがよく分かると思います。そのような「虫のお顔見てみよう!」活動をしていると、だんだん、次第に、徐々に虫に親近感を抱くようになり、虫が好きになってくると思いますので、よければ是非お試しください。