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「風力発電問題」~真実はどこにある?

新温泉町風力発電事業にストップを! ~環境アセスメントの制度を知る【保存版】~

2018.06.25 12:25

私たちはこの素晴らしい自然を護るために「いのちをつむぐ会」を立ち上げました。

どう考えても、このたびの風力発電計画を許すことはできません。

 あくまでも経産省は電気事業者による 再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(FIT法)に基づき、事業者の参入を推進する立場です。

それに対して、開発事業による重大な環境影響を防止するためにあるのが環境影響評価制度(環境アセスメント)です。

 対象となる事業は、風力発電の場合、出力10,000kW以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、92,000kWもの今回の事業は当然しっかりとした環境アセスメントを行わなければなりません。


ただし、その環境影響アセスメントを行うのは、事業者なのです。

事業者は環境影響評価に4つのステップを踏むことになります。

まず私たちは、環境アセスメントという制度についてしっかりと知っておく必要があるのです。


それでは、環境省の環境影響評価支援ネットワークの資料を掲載しながら環境アセスメントを見ていきたいと思います。

もう一度、兵庫県環境影響評価条例パンフレットよりご覧ください。

パッと見ただけでは素人の私たちにはわかりませんよね。

それでは一つ一つ確認していきたいと思います。




1、環境影響評価配慮書

 

 まず事業計画段階の環境の配慮を示した『環境影響評価 配慮書』を主務大臣・環境大臣に送付します。

 手続きは以下の図のような手順を踏み、国民、都道府県知事、市町村長、環境大臣、主務大臣、それぞれの立場から意見書を提出し、それによって事業者はアセスメントの方法を作成していきます。


 【(仮称)新温泉風力発電事業について】

 平成29年9月14日 環境影響評価配慮書告示


 新聞などでひっそりと告示されていたようです。

 私はこの時点では計画を全く知りませんでしたので、一番最初にある「住民の意見」を提出することができませんでした。

 事業者による意見聴取など形だけのものではないかと思うくらい、周りの誰も知りませんでした。


それでは配慮書に対するそれぞれの意見書を日付順に見ていきましょう。



◎平成29年11月13日 知事意見書 (事業者へ)

 まず兵庫県知事より意見書が出されました。

※この知事意見は、学識経験者で構成する第三者機関である環境影響評価審査会の意見が盛り込まれています。

 審査会の総会と部会の会議録がありましたので以下をご覧ください。


 ◎平成29年9月22日 環境影響評価審査会 総会

          (総会会議録)https://www.kankyo.pref.hyogo.lg.jp/files/8215/1989/9178/shinonsen1.pdf

 ◎平成29年10月27日 環境影響評価審査会 第1回部会

            (第1回部会会議録)

https://www.kankyo.pref.hyogo.lg.jp/files/2115/1989/9187/shinonsen1bukai1.pdf

審査会ではしっかり考えて下さっているな~という印象です。

以上のことに配慮してくださいという県からの事業者への意見ですが、「地域環境に対してこれまで想定しえない重大な影響を及ぼす 可能性がある」という文言が入れられていることは見逃せません。


しかし残念なことに配慮書に対する新温泉町からの意見書はありませんでした。

ちょうど町長および町会議員の選挙の真っただ中だったからでしょうか。

通常だと市町村からの意見書もあります。



◎平成29年12月1日 環境大臣意見書(経済産業大臣へ)

 環境大臣から主務大臣へ意見書が出されています。風力発電などのエネルギー事業は経済産業省の大臣が主務となります。


   環境大臣からはかなり事業者に対する厳しい見方がこの段階で出ています。

「この事業者が従業員のいないペーパーカンパニーであること。」

「五件もの大規模計画を同時進行していること。」

「この地が風力発電を推進している場所ではないこと。」


それでもしっかりと環境アセスメントの方法を示せとしか、この段階では言えないのでしょうか。



◎平成29年12月1日 経済産業大臣意見書(事業者へ)

 最後に経済産業大臣が意見を述べます。

内容は環境大臣の示したものと同じのようです。

つまり環境省から経産省を経由して事業者へ意見が提出されるということですね。




2、環境影響評価方法書

 

 次に事業者は、環境アセスメントの方法(スコーピング)を決定し、方法案を示した『環境影響評価 方法書』を県知事と市町村長に送付します。

 手続きは以下の図のような手順を踏みます。

 

【(仮称)新温泉風力発電事業について】

 平成29年2月9日 環境影響評価方法書告示

 

 今度も新聞などで公示したようですが、気付きませんでした。

それから方法書は、一ヶ月の「縦覧期間」となりますが、期間内しか縦覧できることを知らず、見逃してしまいました。


合わせて、「住民説明会」が三ヶ所で開催されています。

  平成30年3月 9日 香美町村岡区中央公民館

  平成30年3月10日 新温泉町夢ホール

  平成30年3月11日 新温泉町浜坂多目的集会施設


 説明会の必要性は「環境影響評価法」に定められています。

 我々もこの方法書告示と住民説明会で初めて計画の存在を知ることとなりました。


 しかし、広く周知することなく行われた説明会への参加者は少なかったです。

事業者としては法に定められているからとりあえずするという形で、誠意をもって住民に伝えていくような姿勢ではないように感じました。



◎平成30年3月26日〆切 住民意見書

 我々住民も少人数ながらも住民意見を意見書箱に投書しました。



◎平成30年3月19日 香美町長意見書(県知事へ)

 いち早く、隣町の香美町から意見書が提出されています。



◎平成30年4月19日 住民意見に対する事業者の見解の提出

私たちの意見に対する見解が提出されたそうです。

どうやったら私たちは見ることができるのでしょうか。

準備書の時になってから見せられても遅いのです。



◎平成30年4月26日 新温泉町長意見書(県知事へ)

  はっきりいって、県知事の意見書のパクりかというようなもので、独自性がないように思いました。
 新温泉町には審査会がないので致し方ないのかもしれません。

今後は、県が把握していない地域の自然財産をよく知る有識者の知恵を結集する必要があるのではないでしょうか。



 以後、平成30年7月に「知事意見書」が予定されています。


それに先立って方法書に対する環境影響審査会が行われています。

 平成30年5月2日 環境影響評価審査会 第1回部会

 平成30年5月18日 環境影響評価審査会 第2回部会

 平成30年5月30日 環境影響評価審査会 第3回部会

3回の部会を終え、残すは総会です。



 我々としては、事業者に対する不満が高まっています。

 前回の配慮書に対する知事意見が、方法書に反映されているとは思えません。

いつでも地元住民に縦覧できるようになっていないことは大問題ではないでしょうか。


 また各環境へと配慮した事業の規模の縮小もしくは計画地変更はなされていません。

 環境大臣が「この地が風力発電を推進している場所ではないこと。」と述べているようにここは適地ではないにもかかわらず、関係ないとばかりにごり押ししてきています。


 環境のことよりも、いかにして法の網を潜り抜けるかということにのみ事業者が注力しているのは間違いないのではないでしょうか。


 頭が切れる人たちが机上論だけで進めてくるのが、ペーパーカンパニーのやり方のように誤解されても、致し方ないことです




事業者による環境アセスメント


 そして、すべての意見が出揃ったら、事業者はいよいよ環境アセスメントに入ります。

現地調査、予測、評価の流れで行います。


もうすぐ事業者は調査会社に委託して、現地調査に入るのでしょう。


「朝来市段ヶ峰の計画の時には、イヌワシなど希少な鳥が飛んでいてもなかったことにされた。事業者のアセスメントなんて無茶苦茶だ!」と自然保護団体の方のお話を聞きました。

 ですから我々住民も、賢くないといけません。

 



3、環境影響評価準備書

 

 事業者は環境アセスメントを行い、現地の環境調査、予測、評価、環境保全対策を検討した結果である『環境影響評価 準備書』を提出します。

 手続きは以下の通りです。

 やはり準備書の縦覧期間が一ヶ月あって、説明会が行われる必要があります。

住民が意見を出せるのは、これが最後のチャンスです。


しかし、計画自体に住民が反対するのならば、この準備書が送付されるまでにしないと、もはや撤回は難しいだろうと言われています。


それでももし準備書が出てしまっても、あきらめずに行きたいものです。


新温泉町としても、しっかりと意見を提出しなければなりません。

町長が反対のスタンスを議会で明確に表明した以上、町をあげてそのバックアップをしていきたいものです。


まず熊谷・伊角村を至近距離で包囲するような風車の配置については認められないと計画地変更を最後まで求めること。


もしそれでもあのような至近距離に建設し、低周波健康被害で村を出ていくことがあった場合の移転補償について。

もちろん因果関係は認めてもらいます。


浜坂病院という基幹病院のそばで低周波が出ることに対して、病院施設側からの意見を添付すること。


畜産業界からも畜産被害が出た場合の全額補償についての要望書。


その他湯村温泉からの景観に対する要望書。


などなどそれらを結集して事業者へ、そして県への意見書を送付するのです。

残す後一回に町長もすべてを注いでほしいと思います。

 



4、環境影響評価評価書

 

 こうしてアセスメントの最終調整を終え、『環境影響評価 評価書』が作成されます。

手続きは以下の通りです。

 ここまでいくと、事業者は相当投資しているので、取りやめることはできないということを聞きました。

 裏でお金が暗躍することもあるということです。


 全ての許認可が下りて、用地買収が完了したら、工事開始となります




【平成30年6月現在の進行度と今後のスケジュール】


環境影響評価 : 方法書終了 → 現地調査中

許認可 : 事前相談終了 → 手続中

設計 : 基本設計終了 → 詳細・実施設計中

売買契約 : 事前検討終了 → 手続中

用地手続 : 用地調査・協議・契約中

平成32年 工事着工

平成35年 発電開始


 我々がしっかりと意見をまとめておいて事業者、町、県、国へ向けたアクションを起こすのは、今しかありません。

 遅くなればなるほど、事業者も手を引きにくくなるのです。



 以上で見てきたように、環境影響評価法は計画反対のための法案ではありません。

なんとか環境影響がないようにして、計画を遂行しようというものです。


 それではどうするかというと、やはり地元から反対運動を起こすことがまず第一だそうです。

 この運動で中止になれば最高です。


 でもそうならなかったとしても、運動があることで事業規模を小さくしたり、しっかりとした保証をしてもらえたりということにも繋がります。

 まずこの制度を知ることからです。


 そして自分たちに、どのタイミングで何ができるか、それを考えていかなければなりません。


まずは県にお手紙を書きました。

そして町にこれから嘆願書を出します。

ニュースレター「みま森」も第2号を予定しています。

みなさんへ浸透してきたら、署名を集めようと思います。

よろしくお願いします。