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風と共に去りぬ考

2020.09.02 08:05

「風と共に去りぬ」という長編小説をご存知だろうか。


アメリカの激動の南北戦争時代をたくましく生き抜いた女性、スカーレット・オハラの物語である。この物語は私の人生の節目ごとに影響を与え続けている本である。もし未読ならばぜひ一読を勧めたい。長い小説はどうしても苦手だという向きには映画や、多少邪道だがコミックもあるので、試されるのも良かろう。いずれにせよ出版されて以来80年以上、語り継がれている名作である。


私がこの物語を初めて読んだのは高校生の頃だったと記憶している。当時は自由奔放な主人公の生き様を読んで「スカーレットって、自分の言いたいことをビシバシ言って、思い通りの行動をできて、カッコイイ。こんな風になりたい。」とひたすら憧れた。


今の仕事を始めた20代の頃、馬車馬のように働き貧困や飢えと闘い家族を守ろうとするスカーレットに「想う人と添い遂げることが出来ずとも、自分の信念を抱いて苦難に果敢に立ち向かえるなんて強いなぁ」と尊敬心を持った。翻って、やる気はあっても結果に結びつかない自分を見ると、人生をフラフラと頼りなく歩んでいるようでため息が漏れた。


さらに10年、生活にも仕事にも多少の方向性が定まって来た時、再び読んだ。読後の感想は「スカーレットみたいな自分勝手な女性は嫌だ。」なるほど、愛する土地タラと家族を飢えさせないためにあの手この手で立ち向かう姿勢は立派である。だが、やり方が頂けない。もっとさりげなく、もっと賢く、もっと強かに、意志を貫く方法があったはずだ。その見本になり得るだろう人物は義妹のメラニー・ウィルクス。メラニーは普段は臆病だが、いざというときには薄い鋼のような勇気を見せる。義妹の本質を見分けられず彼女を軽く扱い、周りの人を陥れても自分の利益のためだけに突き進むスカーレット。全く、こんな愚かな人間にはなりたくはないとすら思った。


時は流れつい先日。数年ぶりに「風と共に去りぬ」を手にとった。「スカーレットみたいな人間にはなりたくない」と思って以来、小説を開くことがなくなっていたのだ。久しぶりに読み直す。その感想は「スカーレット・オハラは、誰よりも現実的だったけれど、同時に誰よりも現実を見ることが出来ていなかった。とても真っ直ぐだけど、非常に不器用だったために、波瀾万丈の人生を送らざるを得なかったのだろう。」であった。憧れ、羨望を持ち、時に嫌悪まで感じたスカーレットに、おこがましいのだが、初めて自分が重なったように思えた瞬間であった。


長きに渡り、愛する小説を持つことは、素晴らしい。人生で立ち止まる地点に伴い、とらえ方が変化していく様は自身の成長を垣間見るようで面白いのだ。

さらに数年して読み直す時、私はかの時代を誇り高く生きた女性、スカーレット・オハラに対してどのように感じるのだろうか。今から楽しみである。


Be ambitious, boys and girls!