愛のいたちごっこ
2016.07.07 03:07
「母さん、あたしのこと、すき?」
これほどに愛する気持ちをもってしても
キミの求める母の愛に追いつかない。
母さんのちっちゃい心は
いつだってキミのことでいっぱいだけど
キミの大きい心は
母さんの愛で満ち足りることはない。
どんなに手を尽くしている
と思っても、まだ足りなくて、
それ以上に心を砕いても、
もっともっと、と欲しがる。
ー満たせてやれていないー
そのことが母さんの心をいつも少しだけ
悲しい色に染める。
そして、キミもまた同じように
―満ちていないー母の愛を思い
悲しみにその胸を泳がせるだろう。
宇宙のように遥かなる愛のいたちごっこは
決して成就することなく
次の世代へ受け継がれる。
お互いのやさしい悲しさを抱きしめたまま。
そうして、そうして、いつか
母になった娘に、子が聞くだろう。
「母さん、あたしのこと、すき?」
キミは思い出すだろうか。
あの時のキミも同じだったことを。
キミは気づいてくれるだろうか。
母さんも今のキミと同じ思いだったことに。